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09月18日-03号

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  1. 岡山県議会 2013-09-18
    09月18日-03号


    取得元: 岡山県議会公式サイト
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    平成25年 9月定例会          ◎ 平成25年9月岡山県議会定例会会議録  第3号〇 平成25年9月18日(水曜日)                  議  事  日  程                  午前10時開議第1 一般質問      ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~                  本日の会議に付した事件日程第1 一般質問      ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~        午前10時開議 ○議長(渡辺英気君)  皆さん,おはようございます。 これより本日の会議を開きます。   ~~~~~~~~~~~~~~~ △日程第1 一般質問 ○議長(渡辺英気君)  日程に入り,一般質問を行います。 質問時間は再質問も含め25分以内と定めます。 なお,一問一答方式の再質問は,項目ごと,項目順に行うこととなっておりますので,御留意願います。 36番佐藤真治君。   〔 36番 佐藤真治君 登壇 〕 ◆36番(佐藤真治君)  皆様,おはようございます。 なれないもので申しわけございません。自由民主党の佐藤真治でございます。 今回もトップバッターということで,申しわけございません。春季キャンプ中盤の紅白戦の勢いを出していこうと思うておりますけれども,まずもって2020年(平成32年)の東京オリンピックパラリンピックの開催決定,まことにおめでとうございます。実は,私,前の東京オリンピックが開催された1964年の生まれでございまして,議場では蓮岡議員,そして太田議員が同級生ということになります。高度成長期の恩恵を受けて,何か身体的に著しい特徴が出ているような気がしないでもございませんが,7年先の東京オリンピックに関して,知事からも,岡山ゆかりのアスリートが一人でも多く活躍や事前キャンプ誘致の期待などのお言葉がありましたが,まずは平成28年度,岡山県内を主会場にして開催される全国高校総体,インターハイは,国民文化祭以来の久方ぶりの大事業で,オリンピックを目指す高校生には一つの試金石,励みになることでしょう。ここまでの全国高校総体準備の進捗状況とオリンピックまでを見越した意気込みについてお知らせください。 次に,今回のブエノスアイレスでの最終プレゼンテーションでひときわ感動を呼んだのが,パラリンピック佐藤真海選手のスピーチでございました。「私にとって大切なのは,私が持っているものであって,私が失ったものではない」という言葉と,パラリンピックが厚生労働省,オリンピックが文部科学省と分かれている選手強化事業の所管を来年度から一本化することへの喜びの言葉が印象に残りました。実は,2005年の晴れの国おかやま国体と第5回全国障害者スポーツ大会「輝いて!おかやま大会」のときにも申し上げたのですけれども,いわゆる障害者の方のスポーツを保健福祉部障害福祉課の所管から,一生涯行うスポーツとして,現在では環境文化部スポーツ振興課が所管になっておりますが,ここで所管を一本化すべきような時期が来ておるのではないかというふうに思うのですが,御所見をお聞かせください。 ところで,ここからは夢の話でございますが,東京オリンピックまで7年ということになりますと,そこまでにまず間違いなくファジアーノ岡山はJ1入りしているんじゃないかというふうに思います。ファジアーノ岡山について,最初に私が支援をすべきだと申し上げのは,平成17年の2月定例会で,「岡山からJリーグを」を合い言葉に,当時NPO法人岡山ヒューマンスポーツクラブが運営主体となって立ち上げたファジアーノ岡山が,まだ中国リーグ入りしたばかりのときでございます。それが順調にJ2に上がって,ことしの8月4日,ガンバ大阪戦において,クラブ初のチケット完売クラブ史上最高となる1万8,269名の観客を集めるチームになりました。閑古鳥が鳴いたような時期もあったんですが,今はスタジアムが狭過ぎて,見たくても見られないという状況になったわけであります。ただ,クラブでは,安全で快適な観戦環境を用意するため検討を重ねて,適正な設定満席数を見直して,今のカンコースタジアムでありましたら,大体1万6,000人程度ということで,チケット販売数の上限を縮小することになりました。しかし,これからJ1入りして,例えば浦和や鹿島と対戦することになれば,岡山の潜在能力からいって2万5,000人以上の集客も見込めて,一方で,J1所属のチームとして安定的な経営をこれからするとなれば,これ以上入場料が延びない現状には問題があるということになります。どうあれ,ファジアーノ岡山は,J1入りが近づくほど新スタジアムの必要性が増してくるのでありますけれども,そして今,補助金も非常にうまく使って,そして寄附を集めて,ガンバ大阪,サンフレッチェ広島,京都サンガ,ギラヴァンツ北九州,さらにはJ2のモンテディオ山形を含めて,全国各地で新スタジアム建設の構想が続々と持ち上がってきております。いずれ再び東京オリンピックムードに乗じて,これはもう今度は日本単独でのワールドカップサッカーの誘致の機運が盛り上がってくると思いますが,例えば4万人収容のサッカー場があれば,ワールドカップサッカーの試合が岡山で開催されることも夢ではございません。いずれにせよ,陸上競技場と共有の施設にはもはや限界があって,新スタジアムが必ず必要になってくる話でございまして,行政の主体的な動きも当然期待されますが,ファジアーノ岡山を初めとする岡山のサッカーチームや新スタジアム経済波及効果を含めて,今後への知事の御認識をお知らせください。 ○議長(渡辺英気君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  自由民主党の佐藤議員の質問にお答えいたします。 県内スポーツの振興についての御質問であります。 まず,全国高校総体準備進捗状況等についてでありますが,ことし5月に県準備委員会を設置し,県内会場地の選定や中国5県の中高校生対象にスローガン等の募集を行うとともに,選手強化に取り組んでおります。全国高校総体の開催は,岡山県のよさを全国に発信する絶好の機会であり,また,県民の一体感や活力を生み出し,生き活き岡山を実現する機会でもあると考えており,大会が盛り上がり,成功するよう万全の準備を進めてまいりたいと存じます。選手の皆さんには,オリンピックへの出場を夢に,一層の精進を重ね,一人でも多くオリンピックで活躍できるよう願っております。 次に,障害者スポーツの所管についてでありますが,障害者スポーツは,障害の種類や程度に応じた配慮を行い,安全性を確保した上で,障害のある方がスポーツに親しむ機会を提供する必要があることから,各障害者団体などとの連携が重要であり,本県では,障害者施策を担当する保健福祉部において,環境文化部との連携のもと,各種取り組みを進めているところです。お話の所管の一本化については,競技力の向上が期待できる一方で,スポーツを通じた社会参加や障害への県民理解の促進といった障害者スポーツ推進の多様な目的を踏まえ,慎重に検討する必要があるものと考えておりますが,今後のスポーツ行政に関する国の動向等も注視しながら,適切に対応してまいりたいと存じます。 次に,新スタジアム建設の認識についてでありますが,J1の施設基準である収容人数1万5,000人に対し,カンコースタジアムの設計上の収容人員は約2万人であることや,整備から10年しか経過していないこと,新スタジアムの建設費用が巨額となること等から,県が主体となって建設することは困難であると認識しております。ただし,民間の寄附により建設を計画しているガンバ大阪のような取り組みがあれば,県としても岡山市と連携して協力を検討したいと考えております。 また,サッカーチームや新スタジアム経済波及効果については,現時点ではどの程度の効果となるかは把握しておりませんが,ファジアーノ岡山などのサッカーチームの活躍は,県民に対して夢や勇気,感動を与え,また,子供たちのスポーツのきっかけづくりになるとともに,地域の活性化にも貢献しているものと認識しております。 以上でございます。 ○議長(渡辺英気君)  次の項目に移ります。   〔 36番 佐藤真治君 登壇 〕 ◆36番(佐藤真治君)  今の件に関する要望でありますが,今まではファジアーノ岡山,「岡山からJリーグを」という夢があったんですが,今後は,「岡山にワールドカップサッカーを」と,そうした夢を,また,描いていきたいなあというふうに思います。 そして次に,知事の行政手法について申しわけないんですが,苦言を申し上げさせていただきます。 今回の有識者による事業再点検の手法でございますが,正直に申し上げて,本当にがっかりいたしました。こういう行政手法には,民間出身の知事にはなれていただきたくないというふうに思います。そもそも設置要綱によって事業再点検に関する有識者会議が開催されましたが,要綱や要領は,いずれも職員の方が事務処理を進めていく上での指針,基準を定める行政機関の内部規律でございまして,いわば事務の執行手続の適正化を図ることを目的としたものでございます。また,本来ならば,こうした再点検をする個別の事業について設置要綱について検討委員会外部評価委員会をつくるようなことがあっても,5月23日に施行された要綱で設置された有識者会議が事業再点検を全部行って,9月に報告書を出す,これは余りにも膨大な量ではないでしょうか。しかも,2条には,委員10名以内で構成すると書いてありますが,委員でもない事務局の方がしばしば提案,委員からの質問に回答,5条を見れば,庶務は総務部人事課行政改革室において処理するとなっておりますが,庶務というには大変な御活躍ぶりだったと思います。具体的には,当初予算一般会計の2,400もの事業のうち,事務局が事業抽出の視点を作成して,1回目の会議でそれの承認を得て295事業を抽出,さらに個別事業の対象となるものを事務局が9事業に絞って提案して,合わせて29事業を委員が選定しました。個別議論の対象外とされた事業は,事務局が有識者会議に報告,第三回有識者会議では,ほとんどは委員から事務局への質問と答弁,時間の関係で十分議論ができなかったので,気づいた点があればメールで送っていただきたいとして,議論は終了。あえていえば,事務局サイドが事業再点検したかった視点も事業も答えも,はなから決まっていたんじゃないですか。そして,結果として,7月19日,8月5日,8月23日の3回の会議で,倉敷駅周辺の鉄道高架事業の規模縮小や医療費補助の見直しにも言及された見事な結果報告書ができ上がり,9月11日に知事がそれを受け取られ,報道されました。知事は,大変重い意見をいただいたと語られて,提言を施策に反映させていく,こうした考えを示されました。ただ,この一連の作業は,二元代表制のもと,議会制民主主義の手続において,いかような民主的コントロールが及んで,法的にどういう根拠と意味があるやりとりなのか,議会に対していかような拘束力があるのかをぜひ教えてください。 ましてや,特定の者に継続交付されている補助交付金の中に,私学助成費軽油引取税報奨金などを入れ込んで,これはもう有識者会議で全く議論もされていないのに,事業再点検をすべき項目であるかのように装っておられるように感じられます。この提言の最終責任者は,つまりは誰で,これはいかなる責任を負われるんでしょうか。 さらに,再点検結果報告書の中身について具体的に伺いますが,単県医療費補助について,特に現在臨時的に実施している低所得者への自己負担限度額軽減措置については,県内企業が全体として持ち直していることから,再延長は行わず,予定どおり終了すべきとなっていますが,これは委員の一方の御意見にすぎず,会議として意見集約された形跡がございません。景気がよくなれば,内部疾患があって働く意思があっても働くことができない,そうした方々の所得が上がるんですか。そうしたことも含めて,単県医療費補助の低所得者の方々への自己負担限度額軽減措置についてのお考えをお伺いしたいと思います。 一方で,中には未耐震化の県施設で,将来改修予定のない1,000平方メートル以上の特定建築物の自治研修所や,それ以下も含めて,津島県公社のA,B,C,D,F棟や知事公舎など,まずこれは一般県民の方が使われない施設についてまで検討対象に挙げておられますが,集約や廃止等について,外部の有識者の方や第三者の方に意見を聞かないと判断ができないことでしょうか。今後どうされたいのか,知事のお考えをお知らせください。 こういう手法が許されるのであれば,事業再点検結果報告書の趣旨に沿えば,これから先,人件費削減も含めて,これが民意なんだと称して,昨年度前までの行財政構造改革大綱を改訂する形をとることすらできる,そういう前段階の動きとすら考えられますが,真意をお聞かせください。 もちろんそもそもこれは削減しようという方向ですから,お手盛りとまでは言いませんけれども,いかにも何か民意が反映されたかのようで,実は官のほうの主導の提言を錦の御旗のように掲げられて,それに対して議会の意見もお聞きしながらまとめていきたいなどというのは,申しわけないですが,これは議会軽視も甚だしいというふうに,私は感じております。しかも,これは情報公開をしながら民主的手続に沿って行政運営が行われているとの評価は,私はできないと思います。情報公開の時代に,知事,こういうのはもうはやっていません。どうかこういう旧来型の行政手法に,知事にはなれていただきたくない。大体こういうことを,私のようなばかな議員に言わせること自体が,お忙しい中,時間を割いてくださった委員の方々に,本当に私は失礼なことだというふうに言いながら,そのように思っております。しかし,これがいわゆる事業仕分けの手法で,仮に公開されていれば,私は状況は違っていたんじゃないかというふうに思います。もちろん,事業仕分けもあくまでこれは判定であって,評価者に予算削減を行う権限・強制力はなく,予算編成権を行政の側の判断と我々の議決によって決まるということになるのは言うまでもありません。しかし,なぜ今回,事業仕分けの手法をとらなかったのか,今回どうして公開されなかったのか,そして今後もこういう行政手法をとっていかれるのか,お伺いいたします。 ○議長(渡辺英気君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  お答えいたします。 有識者による事業再点検についての御質問であります。 まず,会議運営についてでありますが,有識者会議の委員の方々には,地方自治法に基づく専門委員として御就任いただき,事業抽出の視点などについてそれぞれのお考えを伺いながら事務局案をお示しした上で,さまざまな御提言をいただいたものであり,重く受けとめているところであります。この御提言は,直接県議会に対して拘束力があるものではなく,今後,これを踏まえ,執行機関としての対応方針を決定し,県議会等からの御意見を伺ってまいりたいと存じます。 次に,結果報告書のうち,提言の最終責任者等についてでありますが,委員の方々には幅広い知識と高い見識に基づき御提言をいただいたことにより,責任を果たしていただいたものと考えております。 なお,いただいた御提言は,事業のあり方等を検討する際の判断材料の一つであり,最終的には私が責任を持って対応方針を決定すべきものであります。 次に,単県医療費補助についてでありますが,低所得者への自己負担限度額軽減措置は,厳しい経済雇用情勢を踏まえた生活支援策として時限的に実施しているものであり,今後の取り扱いについては,事業再点検結果報告書のほか,各種経済指標などを踏まえ,慎重に検討してまいりたいと考えております。また,お話の就労が困難な方々については,その世帯状況や収入構成等はさまざまであることから,景気回復と所得の関係について,断定的にお答えすることはできませんが,いずれにしても,これらの方々に対しては,他の福祉施策の利用を初め,それぞれの状況に応じた適切な支援が行われることが重要であると考えております。 次に,未耐震施設についてでありますが,お話の自治研修所や津島県公社なども貴重な県有財産であり,処分により得られる財政的効果も大きい一方で,地域への影響も考えられることなどから,県の方針を決定する前に,有識者からさまざまな観点で幅広い御意見をいただいたところであります。今後とも,御指摘のような県有資産も含め,必要に応じ,外部の意見をお伺いすることは重要と考えております。 次に,真意についてでありますが,有識者会議は県が事業再点検を実施するに当たり,事業のあり方や再点検を実施する上での視点などについて,外部の方から幅広く御意見をいただくため,開催したものであります。今後は,これらの御意見も踏まえた上で,現在策定中の行財政経営指針に基づき,これまでの取り組みの成果を維持しつつ,不断の改革・改善に取り組むこととしており,お話の行財政改革大綱の改訂は考えていないところであります。 次に,事業仕分けの手法等についてでありますが,事業仕分けは事業の存廃を中心に議論されているところでありますが,今回の有識者会議は事業のあり方についてさまざまな観点から幅広い御意見をいただき,改善につなげるため実施したものであります。また,非公開については,各委員が忌憚のない意見を積極的に発言できるよう,有識者会議において決定されたものと承知しておりますが,会議録や資料については,終了後,速やかに公開しているところであります。必要に応じて外部有識者から率直な御意見等を伺うことは有意義だと考えておりますが,その手法については今回の例も踏まえながら,今後検討してまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(渡辺英気君)  36番。   〔 36番 佐藤真治君 登壇 〕 ◆36番(佐藤真治君)  御答弁ありがとうございました。 特に低所得者に関するこの支援につきましては,経済指標を見てというふうな御答弁がありましたけれども,そうした客観的な数字ではなくて,私が今回この質問の中で申し上げたいのは,やはり民意,民主的コントロールがどれだけ及んでいるか,民意がどれだけ入っているかということが大切だということが申し上げたいわけであります。特に,当該関係者の方の御意見がどれだけ入っているか。有識者の方を私は批判するわけではもちろんありません。大変にお忙しい中,時間を割いてくださって,有益なそうした議論をしていただいたと信じておりますが,ただ問題は,これが当事者の方の意見が入っていないんじゃないですかと。我々議会は,議員としては当事者の意見をお伝えするようにしておりますけれども,行政の側でもこれを積極的に聞くことは必要じゃないか。特に,前の知事の時代には,対話の県政,開かれた県政という言葉がありました。その努力はされていたというふうに思います。その中で,今回,こうしたことが進んでいけば,本当に当事者の声が伝わらない県政になってしまうような危惧を感じております。知事のおっしゃられるスピード感であったり,あるいは顧客重視であったり,コスト,このことは私は本当に大切なことだと思います。ただ,我々が知事に本当に期待していることは,やはり民間の企業の出身であるということで,現場の声,要は現場主義,現場の声が行政に反映される,しかもそれが早くコストが削減されて反映される,そのことを望んでいます。最初に冒頭で大変に失礼なことを申し上げたんですが,行政の手法になれないでくださいというのは,やはり知事がトップリーダーとして,現場に回っていただいて,そして何よりも現場の声を直接受けとめていただいて,それを行政に生かしていただきたい。そうした思いで申し上げておりますが,それに関して,特に身障者の方への補助につきまして,私はこれは現場の声,当事者の声,聞けてないと思うんですけれども,知事のお考えをお知らせください。 ○議長(渡辺英気君)  答弁を求めます。 伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  現場の声を聞くことの大事さということについての御質問にお答えをいたします。 当事者を含めていろいろな立場の方の意見を伺うことは,行政にとっても,それ以外の例えば民間企業の経営にとっても大変大事なことだと考えております。各部局の担当者が日々それぞれの担当者の意見を聞いていると,私は信じておりますし,これからもそのようにしていかなければいけないと感じております。 以上でございます。 ○議長(渡辺英気君)  次の項目に移ります。 36番。   〔 36番 佐藤真治君 登壇 〕 ◆36番(佐藤真治君)  感想めいたことでありますが,職員の方が聞いておられる,確かに現場で,職員の方の現場で努力はしていただいておると,私も信じておりますが,私は知事に現場の声を聞いてほしいと申し上げたんだということは,つけ加えさせていただきたいし,この議場にいる我々も,言ってみれば本当に現場の声を聞いている,現場主義に立つ,議員,議会でありますから,こうした議会の声もしっかりと受けとめていただくことをお願いしたいと思います。 次に,子育て支援について伺います。 昨年8月10日に,幼児期の学童教育,保育,地域の子ども・子育て支援を総合的に推進するために,子ども・子育て関連3法が可決成立して,この3法に基づいて幼児期の学校教育,保育,地域の子ども・子育て支援を総合的に推進するための子ども・子育て支援新制度が平成27年度からスタートする予定でございます。新制度では,住民に最も身近な市町村が幼児期の学校教育,保育,地域の子ども・子育て支援のニーズを把握し,認定こども園,幼稚園,保育園などの整備を計画的に進めることとしています。また,社会保障と税の一体改革の中で,来年4月から8%,平成27年10月からの消費税率を10%にされるということかもしれませんが,その引き上げによる増収分のうち,約7,000億円の財源が充てられることとされています。このうち4,000億円は,待機児童解消等に向けた保育等の量を拡充するために要する費用に充てられ,300億円については,保育士等の職員配置基準の改善を初めとする保育等の質の改善に充てられる予定でございます。この法律の中では,国が子ども・子育て会議を設置し,努力義務とはいえ,都道府県と市町村にも同じような地方版子ども子育て会議の設置を求められており,既に会議が設置され,会合が開かれて具体的に動き始めている県が複数ございます。子育て同盟サミットを開催されるのは,これはもちろん結構なことなんですが,我が県では,今議会でやっと岡山県子ども・子育て会議設置条例案が提案され,スピード感がないのは否めません。しかも,今回の設置条例は,極めて抽象的なものでございまして,内容が皆目わかりません。公募委員を募集している県も複数ございますが,かように広く意見を伺いながら,子ども・子育て支援事業支援計画をいかように策定し,推進していくのか,イメージをお知らせください。 また,教育再生の前提として,しつけをして成績を上げる前に,まずは経済格差が教育格差に結びついている現状で,さらなる子育て世代を支援,また,就学前から就労に至るまで一貫した発達障害の支援体制が必要だと,私は何度も申し上げてまいりましたが,そうした観点も加わるのか,御所見を聞かせください。 ところで,新制度の主な内容は,1,複雑だった設置手続の簡素化や財政支援の充実強化などにより,幼児教育と保育を一体的に提供する認定こども園制度の改善を目指す,2,待機児童解消を目指し,保育園などの施設の設置を容易にしたり,小規模保育,家庭的保育,いわゆる保育ママなど,保育の量的拡大・確保し,質も確保するため,職員の処遇や配置に関する改善などを図る,3,地域の子ども・子育て支援の充実に向けて放課後児童クラブ,学童保育,一時預かり,延長保育,地域子育て支援拠点事業,妊婦健診などの事業の拡充を図るというものでございます。ただ,保育環境や保育士の労働条件の悪化や来年度以降の保育所整備の国庫補助制度も,今,不透明でございまして,保育基準の違いが広がって,幼稚園,保育所,4種類の認定こども園,そのほか保育ママや認可外保育,事業所内保育など,これがもう複雑化して,混乱と格差を招くと危惧する声もあるにはございます。幼児教育や保育機関,また,養成機関の今後の課題や対応についての認識をお知らせください。 これに関連して,この6月に,日本で初めて学童保育指導者に固有な資格がつくられた本岡山県で,子ども・子育て関連3法成立後最初の日本学童保育学会第4回研究大会が開催をされました。また,10月5日と6日の2日間にわたって,第48回全国学童保育研究集会が岡山で開催をされます。平成27年4月からは,学童保育は市町村が行う地域子ども・子育て支援事業,これは市町村事業として位置づけられ,学童保育への補助金は市町村の地域子ども・子育て支援事業計画に基づいた支出が交付金として,国から市町村へ交付され,都道府県のほうは,予算の範囲内で補助するという形になります。今後は,岡山県の特徴である市民協働とも言える地域運営委員会のよさも生かしつつ,学童保育に経営感覚のあるNPO,企業も含めた民間も参入して,場合によっては一つの学区に複数の適正規模の学童保育ができて,保育内容も切磋琢磨する中で,選択肢がふえていく,こうした形になっていくかもしれませんが,同時に,少人数クラブを実現して,自己肯定感を高める人間関係や直接的な体験から,子供たちの生活や気持ちの安定を図るという意味で,学童保育は今後ますます重要になってくるというふうに思います。 まずは,今回の研究集会の意義も含めて,知事の学童保育に対する認識をお知らせください。 そして,こうした新制度が動き出すにしても,交付金の3分の1の都道府県の負担を確実に確保し,障害児受け入れ加算等の,県のこれはいい事業があるんですが,県の単独事業を後退させてはなりませんし,ある意味,岡山発と言える形で,ある程度のハードルを設置して,一定の給与保障が合意できる指導員の資格制度が,今,実現しようとしております。しかし一方で,無資格で頑張ってこられた指導員さんたちも大変多くいらっしゃる。こうした方々を,言葉は適切かわかりませんが,救済する,こうした研修が県の役割になってくるんじゃないかなと。民間団体と連携しながら,質の高い研修機会を設ける必要も出てくると考えますが,お考えをお知らせください。 ○議長(渡辺英気君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  お答えいたします。 子育て支援についての御質問であります。 まず,子ども・子育て支援事業支援計画のうち,策定等のイメージについてでありますが,子ども・子育て会議は,県における幼児教育や保育に係る需要量の見込みや提供体制の確保方法等を定める子ども・子育て支援事業支援計画の策定に当たって意見を聴取するとともに,子育て支援施策の実施状況を継続的に点検,評価,見直していくなど,大変重要な役割を果たすものと考えております。このため,構成員として,幼児教育,保育の両分野の関係者を初め,子育て当事者に参画いただくなど,幅広い関係者の意見をバランスよく聞ける仕組みを構築し,市町村と緊密な連携を図りながら,少子化対策は待ったなしとの認識のもと,常にスピード感を持って計画を策定・推進してまいりたいと存じます。 次に,さらなる子育て世代の支援等についてでありますが,国において策定が進められている子ども・子育て支援法に基づく基本指針案には,「障害児,貧困状態にある子ども等が円滑に教育,保育等を利用できるよう必要な支援を行うことが求められる」とされております。県の計画は,この基本指針に即して策定することとされており,こうした観点についても盛り込んでまいりたいと考えております。 次に,幼児教育等の課題等についてでありますが,幼稚園及び保育所は,新年度施行後も現行の法令に基づいて運用されることから,大きな変化は生じないものと考えておりますが,幼・保連携型認定こども園については,これまで別々であった保育と教育を一体的に提供する必要が生じることから,新たな保育,教育の提供方法のあり方について,現在,国において検討されているところであります。また,幼・保連携型認定こども園は,幼稚園教諭免許と保育士資格を有する保育教諭を配置する必要があることから,養成施設では幼児教育と保育の知識をあわせ持った学生の育成を進める必要があると認識しております。いずれにしても,県としては,新制度が円滑にスタートできるよう,市町村や関係機関等の支援に努めてまいりたいと考えております。 次に,学童保育のうち,認識についてでありますが,放課後児童クラブ,いわゆる学童保育は,女性の就労の増加や核家族化が進展する中,仕事と子育ての両立支援,児童の健全育成対策として重要な役割を担っていると認識しております。お話の全国学童保育研究集会は,県内外から多くの関係者が一堂に集まり,学習,交流する全国最大規模の集会と聞いており,放課後児童クラブの質の向上に資する大変有意義な取り組みであると考えております。 次に,県の役割についてでありますが,県では,国の制度に基づく放課後児童クラブの運営費等の補助に加え,障害児受け入れに伴う人件費の補助など,県独自の支援策を講じているほか,指導員の資質向上のための研修を行っておりますが,引き続きその支援に努めてまいります。 また,県内のNPOが独自の指導員資格取得認定事業を実施しており,広がりを見せていると聞いておりますが,新制度における放課後児童クラブに係る指導員の資格や研修のあり方等については,現在,国において検討されているところであり,今後,その動向も注視しながら,県内の放課後児童クラブの質の向上に努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(渡辺英気君)  次の項目に移りますので,答弁者は控席へお願いいたします。 36番。   〔 36番 佐藤真治君 登壇 〕
    ◆36番(佐藤真治君)  次に,岡山県有数の穀倉地帯である岡山市南区藤田地区のかんがい排水事業,いわゆる藤田パイプラインについてお伺いいたします。 この地区では,全国的な米価の下落,農家の高齢化,後継者不足という課題もありますが,児島湾干拓のもとで大規模圃場整備や水利環境もなされており,特に米麦では先進経営体の大規模農家が多く,また,園芸作物として,タマネギ,レタスが導入されて,水田転作作物として,施設ナス,レンコン等の野菜の産地化が進められてきました。ここで約30年の歳月をかけて完成の国営かんがい排水事業に続いて,支線となる県営かんがい排水事業を整備しているのは,地域の独自性がある三堪四落という言葉に象徴されるように,大区画の水田地帯において,かんがい排水施設の再編整備を行って,用排水分離を行って,営農能力,労力の節減を図るとともに,いわゆるこの水田の汎用化によって,農業経営の安定を目指しているからでございます。言ってみれば,水道の蛇口をひねるように自由に農業用水を使うことで,水田の汎用化,転作を図るというのがポイントになりますが,TPP交渉もある中で,日本の,あるいは岡山の農業の未来を担う,私は極めて重要な地域であると思いますし,また,極めて重要な施策であると考えますが,知事の御認識をお知らせください。 一方で,岡山外環状道路南線の計画があり,工事延伸もされましたが,生活道に埋没するパイプライン工事については,地域の皆様の大変な御協力をちょうだいして,コスト削減と通行どめ期間の短縮等についても,県も努力はされてきました。そして,都・大曲地域において,この5月13日から待ちに待った来年の本格通水に向けて通水試験が始まりました。ブロック別給水による代かきや保給水の給水が行われて,そこまでもごみが多く給水栓の詰まりはありましたが,実は土用干しや給水栓の清掃のための送水停止期間が終わって送水を再開したときに問題が発生しました。思った以上に水が出なかったということであります。一つには,代かき機のようなブロックローテーションによる給水をせずに一斉に給水を開始して,急激な水圧低下を来たし,時間を要したというのは,これは間違いないと思います。送水再開前に県が十分な説明をされなかった,この点については大いに反省していただく必要があるというように思いますが,ただこれに加えて,国の施設,取水口のネットスクリーンや大曲の用排水機場の構造そのものに問題があるんじゃないかという声がございます。 まずは,最初の計画からもう数十年の月日が流れており,大規模農業に変わってきている状況もある,改めて用水計画・運用方法について,国から地元へ説明がなされることを強く求めたい。また,同時に,今回発生した事象の原因とその対応について,国に具体的にどう要望するかについて,農林水産部長にお伺いいたします。 ○議長(渡辺英気君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  お答えいたします。 藤田パイプラインについての御質問であります。 認識についてでありますが,藤田地域は古くから干拓により造成された岡山県有数の広大な穀倉地帯であり,昭和初期から大型機械化農村として農業をリードしてきた地域であります。また,現在は大規模経営体による土地利用型農業や千両ナス等の施設園芸も行われている地域と認識しております。藤田パイプラインは,お話のとおり,用排水分離により水田の汎用化を図り,生産性の高い土地利用型農業の実現を目的として実施しているところであり,今後とも,藤田地域が先進的な農業地域となるよう努めてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(渡辺英気君)  農林水産部長佐藤一雄君。   〔 農林水産部長 佐藤一雄君 登壇 〕 ◎農林水産部長(佐藤一雄君)  お答えいたします。 藤田パイプラインのうち,国への要望についてでございますが,土用干し後の給水不足については,お話のように,地域において一斉に取水したことに加え,取水口へのごみの混入やポンプの回転数が不安定であるといった施設面の問題も影響しているものと考えております。県では,このような事態を受け,国に対し,土用干し後の最初の給水に係るブロックローテーションを検討し,その運用方法等について地元へ説明するとともに,施設面の問題に対する原因究明と対応策を検討するよう要請してきており,国からは,問題点を認識し,早急に調査に着手すると聞いております。県としましても,来年度からの本格通水を控え,喫緊の課題であると考えており,安定的な用水供給が図られるよう,岡山市等と連携しながら,引き続き国に早急な対応を求めてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(渡辺英気君)  36番。   〔 36番 佐藤真治君 登壇 〕 ◆36番(佐藤真治君)  御答弁いただきましてありがとうございました。 お願いしたいこととして,来年度は本格通水ということで,まず大丈夫ですねという確約というのは,ちょっと議場で言うのはあるかもしれませんが,それは確約をいただきたいというのと。 何よりも,この藤田のパイプラインについては,市と県と国が一体となってやらなくちゃいけない,役割分担の連携も非常に必要だということで,早急に地域において,国,県と市と並んだ形での説明会,この開催が必要だと思います。今回は,都・大曲地域でありましたけれども,これからまだ錦の地域にこれは大展開される,まさに岡山県が全国に誇るべき施策でありますから,これがもう間違いがないように,しかしもう何十年もたっているということでありまして,改めて国に対して,そして県もそれに加わって,市も加わって,説明会をやるお考えがおありかどうか,部長にお伺いいたします。 ○議長(渡辺英気君)  農林水産部長。   〔 農林水産部長 佐藤一雄君 登壇 〕 ◎農林水産部長(佐藤一雄君)  佐藤議員の再質問にお答えいたします。 県といたしましても,来年度の本格通水には同じ事態が起こらないように早急に対応が求められるというものでございますから,順次対応するように国に強く要請するとともに,必要に応じまして,県としても協力してまいりたいと考えております。 また,国,県,市,三者によります説明会につきましては,お話をいただきましたけれども,今後まだあと2地区残っております。来年の仮つけもございますし,その次,29年,31年と予定している部分もございますので,適時適切に対応してまいりたいと思いますし,国につきましても,また,岡山市につきましても,その説明会への臨席を求めていきたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(渡辺英気君)  36番。   〔 36番 佐藤真治君 登壇 〕 ◆36番(佐藤真治君)  申し上げたいのは,その対症療法的なことではなくて,全体計画の中で,例えば都,大曲,錦,全体が動き出したらどうなるのかという,全体計画を示していただきたいということで,年度ごとに説明会をやるというのではなくて,全体でこうなんだという,そうした説明会をしていただけますかというお話でございます。それは,今やらなくてはいけないことだと思うんで,今年度の説明をするということではありません。全体にこれから全部の地域が動き出したときに,本当にこれだけで容量足りるのか,あるいは防災の面であったり環境の面であったり,パイプライン,あるいは農業用水の果たしている役割は非常に大きいわけでありますが,これから外環状道路を通したり,地域の方の御協力もいただかなくちゃいけない,その中で全体計画がどうなのか。それに対して県と市が何をやるのか,その説明会を開催してくださいというふうに申し上げているんです。 ○議長(渡辺英気君)  農林水産部長,答弁席へ。   〔 農林水産部長 佐藤一雄君 登壇 〕 ◎農林水産部長(佐藤一雄君)  藤田地区のかんがい排水につきましては,全体で,1,600ヘクタール弱の受益面積を持っておりまして,全ての供用開始になるのが31年を予定しておりますが,今,佐藤議員からお話しございましたように,既に18年から始まっている藤田都六区,それから来年度から始まります藤田都大曲,また,29年度から藤田錦六区,それと31年度からの藤田錦,そういう全体の計画の中で現在設置しております藤田用排水機場並びに大曲用排水機場の国営施設,それと県がつくっておりますいろいろな施設,そういう施設を活用しながら全体の1,600ヘクタールの用水の供給を十分行えるように,全体計画を見ながら説明会を行ってまいりたいと思います。 以上でございます。 ○議長(渡辺英気君)  次の項目に移ります。 36番。   〔 36番 佐藤真治君 登壇 〕 ◆36番(佐藤真治君)  最後に,産業の振興について伺います。 本当に行政経営をされるのは大変だと思いますが,そろそろ民間出身,経済人である知事だからこそ打ち出せる施策があるのだろうと,岡山県民の皆様は待ち望んでおられます。あえていえば,当然やらなくてはいけない行革や教育再生もさることながら,今までの経験や豊かな人脈の中から,あっと驚くような,岡山県経済の発展,本格的な景気回復の起爆剤が出てくるだろうという期待,私もしております。もちろんフィルムコミッションを再活性化させて御当地映画撮影を行うというようなこともあるでしょうけれども,岡山県を元気にする,知事ならではの動きや施策について,何かございましたら,お知らせください。 特に,アメリカへの留学経験もあられる知事でございますから,日中,日韓関係にかかわらず,アメリカとの経済関係,国際交流をより強固にする,姉妹縁組をする,旅行客をふやす,そうした具体的な取り組みを私は大いに期待させていただいておりますが,御所見をお知らせください。 ところで,我が党の雇用対策の質問,新規学卒者の県内企業への就職支援について,経済団体に正規雇用枠の拡大の要請をしたり,合同就職面接会の開催に取り組む,あるいは中小企業の人材育成確保,技術や技能の伝承について,高校生のものづくり技能取得支援事業やものづくりマイスター制度の取り組みについて御答弁いただきましたが,この受験手数料の減免や専門校指導員等の派遣,練習用材料費の補助を行う高校生のものづくり技能取得支援事業は,今年度で終了予定となっております。しかし,技能検定が技能習得の目標として教育現場の柱になっており,就職に対しても大きな効果を発揮しており,また,ものづくり技能者の育成確保という3業界からの要請にも応えるため,ぜひ存続させ,推進させるべきだと思います。さらに,可能であれば,現行のような3年という時限制度ではなく,もう少し長い期間にし,受験手数料の減免同様,専門校指導員等の派遣,練習用材料費の補助についても,事業対象職種を6分野に限らず,ほかのものづくり分野に拡大すべきだと思いますが,御所見をお聞かせください。 また,県内企業に他県から優秀な技能を持った高校生が多く就職し始めたことは,周知の事実でありますが,広島県では若年技能者の育成指導事業を展開しており,高校生の技能検定合格率3位まで引き上げることを目標としています。かねてから,教育再生の象徴として,直接は市町村教委の所管である義務教育段階の全国学力テストの順位を10位以内にすると,知事が積極的な発言をされておられることが,私は必ずしも教育現場や子供たちによい影響を与えているばかりではないんじゃないかと感じておりますが,一方で社会でよりよく生きていくための教育のはずが,今回の生き活きプランでも驚くほど高校,まして専門科の記述がございません。私立を含めて高校生の技能検定合格率を引き上げることを目標として掲げるべきだと思いますが,御所見をお聞かせください。 ○議長(渡辺英気君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  お答えいたします。 産業の振興についての御質問であります。 まず,岡山を元気にする動き等についてでありますが,民間の経済人としての経験から申しますと,「顧客重視」,「コスト意識」,「スピード感」が何よりも重要であると考えております。産業の振興につきましても,プラン改訂素案にもお示ししているように,企業のニーズを的確に把握し,本県のすぐれた操業環境や交通アクセスなどの強みを生かした企業誘致の推進を初め,中小企業支援,観光振興等を地道に進め,いわば一つ一つのスモールサクセスを積み上げることにより,本県に人・モノ・金を呼び込み,生き活きとした元気な岡山をつくってまいりたいと考えております。 次に,アメリカとの関係についてでありますが,本県においても,従来からアリゾナ州などへの県訪問団の派遣,県内企業の進出,岡山市など6市の友好協定締結など,地域レベルでのアメリカとの関係を深めてまいりました。アメリカは,日本にとって身近な国であることから,観光やビジネス交流など,さまざまな分野でアメリカとの新たなつながりを持つことも,今後検討してまいりたいと考えております。 次に,高校生のものづくり技能取得支援事業についてでありますが,県内工業高校などの積極的な取り組みもあり,高校生の技能検定合格者数は,事業開始前の平成22年度の181人から,平成24年度には546人と,3倍に増加するなど,大きな成果を上げております。生徒にとっては就職率のアップ,企業にとっては優秀な人材確保が図られ,県内産業の振興につながる有益な事業と考えておりますが,今後,事業成果の検証を行った上で,来年度以降の方針を検討してまいりたいと考えております。 次に,高校生の技能検定合格率引き上げ目標についてでありますが,現プランの数値目標は,平成28年度までに1.7%から5.1%と,3倍の合格率となるよう設定しておりますが,平成24年度時点で6.0%と,既に達成したところであります。このため,プラン改訂素案では,指標については設定しないものの,雇用拡大プログラムの重点施策の中で,高校生のものづくり技能の習得支援を掲げており,その中で合格率のさらなる引き上げについても取り組んでまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(渡辺英気君)  答弁者は自席にお戻りください。 次の質問者に移ります。 1番氏平三穂子君。 答弁者は控席へお願いいたします。   〔 1番 氏平三穂子君 登壇 〕 ◆1番(氏平三穂子君)  皆さん,おはようございます。 市長選挙が近づいておりますので,テンション上げてきょうは質問をさせていただきます。よろしくお願いをいたします。 日本共産党の氏平三穂子です。 さきの参議院選挙で我が党は,議席を大きく伸ばすことができました。それは,安倍内閣の暴走と正面から対決し,国民の立場で政治を変える提案を積極的に打ち出したことに,国民の評価をいただけたと考えております。安倍内閣の暴走は,加速を強めています。歴史認識では,世界から孤立を深め,消費税の増税,社会保障の大改悪,秘密交渉を続けるTPP,福島第一原発では,汚染水漏れが危機的状況にありながら,原発の再稼働,また,集団的自衛権の行使をめぐる政府憲法解釈の変更へ向けた強行な動きなど,いずれもこの暴走は,国民の声を無視し,数の力で推し進めようとするものであり,国民との矛盾が一層深まることは明らかであります。 前置きはこのぐらいにいたしまして,それでは一問一答で通告に従ってお願いをいたします。 まず,知事に,今,問題になっている若者を使い捨てにするブラック企業問題についてお尋ねします。 我が党は,若者を使い捨てにするブラック企業の根絶について,国会でもその実態を企業名を挙げて追及いたしました。また,その原因とも言える労働法制の規制緩和を進めてきた政治の責任も大きいと,追及もいたしました。また,さきの参議院選挙では,この問題を一大争点としても戦ってまいりました。結果,ついに厚労省も重い腰を上げ,調査を開始する,こういうことに決めたのであります。 そこで,若者を酷使,選別し,使い捨てにするブラック企業について,知事はどのようなお考えをお持ちでしょうか。また,本県においても,そのような企業が存在するのでしょうか,御認識をお尋ねします。さらに,こうした企業が生まれる原因がどこにあるとお考えなのか,あわせてお尋ねします。 さらに,私は,2点提案をさせていただきます。 1つは,安心して働ける岡山県にするために,県として労働局と連携して積極的に悪質な企業の情報収集に努めるべきだと考えますが,いかがでしょうか。 2つ目は,ブラック企業から若者を守るためには,高校教育の中で,労働法制についてきちんと教えていくことが必要です。2008年までは,「ヤングワークworkガイド」を公立,私立含めて全ての高校3年生に配布されていたようですが,現在は「働く若者サポートガイド」をクラスに1冊程度の配布になっているとお聞きいたしました。使い捨て労働が問題になっているこの時期だからこそ,内容を工夫して全生徒に対して冊子やリーフを配布し,授業等で取り上げてもらうよう,教育委員会に働きかけていくべきだと考えます。また,高校生が携帯電話からも情報が入手できるよう,インターネット上の必要な情報を載せるなど,一層の工夫も必要と考えますが,いかがでしょうか。 以上2点,産業労働部長にお尋ねいたします。 ○議長(渡辺英気君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  共産党の氏平議員の質問にお答えいたします。 ブラック企業問題についての御質問であります。 認識についてでありますが,ブラック企業の法的な定義はありませんが,若者の使い捨てが疑われる企業に関する全国電話相談においては,賃金不払い残業,長時間・過重労働,パワー・ハラスメントが相談の上位を占めており,そうした不適切な労働環境のもとで従業員が働いている企業が該当するものと考えております。県内でも,労働基準法違反が認められ,労働局から是正措置が命ぜられた企業があると聞いておりますが,私としても遺憾に存じており,デフレ不況下でのコスト削減,就職難の長期化がこうした企業を生み出す原因の一つとも考えております。 以上でございます。 ○議長(渡辺英気君)  産業労働部長高橋邦彰君。   〔 産業労働部長 高橋邦彰君 登壇 〕 ◎産業労働部長(高橋邦彰君)  お答えいたします。 ブラック企業問題についてのうち,労働局と連携した情報収集についてでありますが,労働基準法等の労働関係法令の遵守については,労働局が県内企業の巡回,指導・監督等を実施しております。県では,従来から,賃金不払い,解雇等に関する相談を受け付けており,相談内容に応じ,企業を指導・監督する権限を有する労働局の窓口を紹介するなどの対応を行っております。今後とも,労働局などとの情報交換等の連携を図りながら,不適切な労働環境等の相談に適切に対応するとともに,労働条件等の法令遵守について,普及啓発に努めてまいりたいと考えております。 次に,「働く若者サポートガイド」についてでございますが,将来の岡山を支える若者の円滑な就職準備のためにも,高校教育など早い段階からの労働条件についての教育が重要であると考えており,労働時間,賃金制度などを解説した当該冊子を教育委員会などを通じて各学校へ配布しているところであり,引き続き利用についての働きかけを行ってまいりたいと存じます。また,この冊子については,既に県ホームページに掲載しており,インターネットを通じ,誰でも利用が可能であり,現在の配布状況で十分対応できると考えておりますが,若者にとってわかりやすい内容となるよう充実させ,一層の活用が図られるように工夫してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(渡辺英気君)  1番。   〔 1番 氏平三穂子君 登壇 〕 ◆1番(氏平三穂子君)  ありがとうございました,御答弁。 知事,御認識をしっかりしていただいているようですけども,御存じでしょうか。日本にブラック企業大賞というのがありまして,実行委員会がノミネートしているんですけども,全国8社,ワタミとかユニクロは御存じだと思いますけども,全国選ばれた8社の中で2社が岡山県に本社を置く企業であるという,私もちょっとびっくりしました。そして,そこは,はっきりその事実関係はわかりませんけども,非常に優秀な常勤職員ばっかしを雇っている企業というふうにもお聞きしてるんですけど,そのあたりのノミネートされている企業について御存じでしょうか。 ○議長(渡辺英気君)  知事,答弁席へ。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  ブラック企業大賞という企画があったということは,認識をいたしております。その中に,10社弱ノミネートされて,その大賞というのですか,が選ばれたこと,その中に確かに郷土のなじみのある会社が含まれていたことは,私もぼんやり覚えておりますが,どの会社だったか,今,この議場で言えるほどの確信を持って覚えているわけではございません。私の印象でいえば,私の中でイメージのいい会社だったような印象がございまして,やはりたくさんの人を雇っていると,私そのうちの一人の経営者をよく存じ上げているものですから,あれだけ熱心に従業員のことを考えていても,全員ときちんと心を通わせるということは,かくも難しいものかと感じた次第であります。よくブラック企業と言われる場合,従業員を犠牲にして会社が得をしているという文脈で語られることが多いように感じておりますけれども,実際にはもし得をしたとしても非常に短期的な得でありまして,10年,20年,それ以上のスパンでいえば,そういうことをして得になることは当然考えられないわけであります。それぞれの企業は,従業員の人に納得して働いてもらう,そこで働いて成長してもらう,家族を育てていくことを喜びと感じていただかなければ,新しい従業員が入ってくるはずがないわけでありまして,ぜひきちんと情報が行き渡ることで,ブラック企業と呼ばれるようなことがこれからも続かないようにしていく必要があると考えております。 ○議長(渡辺英気君)  1番。   〔 1番 氏平三穂子君 登壇 〕 ◆1番(氏平三穂子君)  ありがとうございました。 ですから,私が思うには,非常に優秀であって,きっと常勤をたくさん雇っている,そういうところがやっぱりこれから非常に,もう非正規ばっかしだとか,そういう会社はもう明らかにオープンなわけですから,一見優良企業のようで,職員をたくさん雇っていても,本当に離職率がどんどん高いとか,そういう落とし穴がブラック企業というのはやっぱりあるというのが特徴だと思いますので,しっかりその辺のところも見ていただきたい。とりわけ,知事が最初の開会日に,今,若者サポートセンターの継続をしっかりやっていくというふうにおっしゃられましたけども,私も見学に行きまして,本当に細かいカウンセリング等やられているようですので,そういうところがブラック企業がふえれば,本当にもっともっとたくさん援助する人がふえてしまうわけですので,そういった意味でも労働局と一緒になってしっかりとチェックをしていっていただきたいというふうに思います。これは要望です。ありがとうございました。 ○議長(渡辺英気君)  済みません。要望ですか。 ◆1番(氏平三穂子君)  (続)それは要望です。知事,要望です。よろしくお願いいたします。 ○議長(渡辺英気君)  それでは,その項目はもう終わりですね。次の項目ですね。 ◆1番(氏平三穂子君)  (続)いや,産業労働部長に。 ○議長(渡辺英気君)  はい,わかりました。 1番。   〔 1番 氏平三穂子君 登壇 〕 ◆1番(氏平三穂子君)  ありがとうございました。 私は,これからの若い人たちは,やっぱりネットを利用して,冊子というのも必要なんでしょうけども,工夫が本当に必要ではないかなというふうに思っております。日本共産党は,御存じかと思いますが,カクサン部という,ゆるキャラ,カクサン部,共産党の政策を拡散しようというカクサン部というのをつくっておりまして,その中に雇用のヨーコというすごいキャラクターがいるんですよね。そのキャラクターが,今,今回の選挙でも,「ブラック企業におしおきよ」ということで,すごい人気を集めまして,脚光を浴びているんですけども,やはりいろんな若者に受けるような,高校生に受けるような工夫をネットの中で,ただインターネットに載せてますよというだけではなかなか見ようかなということにならないと思いますので,一工夫,二工夫していただけたらと思いますが,いかがでしょう。 ○議長(渡辺英気君)  産業労働部長,答弁席へ。   〔 産業労働部長 高橋邦彰君 登壇 〕 ◎産業労働部長(高橋邦彰君)  もう少し,例えば,ゆるキャラ等を使った斬新な若者にもわりやすく,受けやすい工夫をしてはどうかというふうなことでございますが,先ほども御答弁させていただきましたとおり,その工夫の中には,やはり若者にとってわかりやすく,理解しやすいということも含まれているというふうに考えております。いずれにいたしましても,インターネット等での情報提供,そしてまた,新しい情報の提供にも努めるよう,今後検討してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(渡辺英気君)  次の項目に移りますので,答弁者は控席へ。 1番。   〔 1番 氏平三穂子君 登壇 〕 ◆1番(氏平三穂子君)  次に,生活保護費の引き下げ問題について質問いたします。 8月から生活保護費が引き下げられました。物価が下がった,低所得者よりも,保護受給者の給付額のほうが高いとして,扶助費を3年かけて削減するものです。今,日本は格差と貧困が広がり,低所得者層が急増しています。保護受給者は,それ以下でないといけないとするこうした考えでは,ますます日本の貧困率が高まり,生存権さえ脅かされ,最後のセーフティーネットとしての役割が壊されてしまうのではないでしょうか。特に子育て中の世帯の引き下げ率が高いことや,また,他に収入を求めることができない高齢者世帯への引き下げは影響が大きく,深刻な事態が報告をされています。受給者は,これではもう生きていけないと,不服申し立てとして,知事に審査請求に立ち上がろうとしています。県として,国が決めたことだからと逃げるのではなく,県民の実態を踏まえて,セーフティーネットとしての役割を破壊するような生活保護費の引き下げを即時中止するよう,国に働きかけるべきだと思いますが,保健福祉部長にお尋ねいたします。 ○議長(渡辺英気君)  保健福祉部長伯野春彦君。   〔 保健福祉部長 伯野春彦君 登壇 〕 ◎保健福祉部長(伯野春彦君)  お答えいたします。 生活保護費の引き下げについての御質問でありますが,今回の保護基準の見直しは,国において適正な保護水準の設定のため,社会保障審議会専門部会の検証結果等を踏まえ行われているものと承知しております。現時点で,この見直しについて国への働きかけを行う予定はありませんが,今後,福祉事務所等からの意見を伺う中で,必要に応じて国に対し現場の状況等を伝えることも検討してまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(渡辺英気君)  1番。   〔 1番 氏平三穂子君 登壇 〕 ◆1番(氏平三穂子君)  ありがとうございました。 ぜひ,先ほど佐藤先生も言われましたけど,現場の声をやっぱり国に伝えていかないと,国はやっぱり実態がわかってないということだと思いますので,それがもちろん議員の役割であろうし,地方自治体が県民を守っていくという立場でも,国にきちっとやっぱり実態を訴えいくという姿勢は,先ほど部長もそのようにしていきたいというふうにおっしゃられましたので,要望ですけども,しっかりと伝えていく段取りをしていただきたいし,実態をつかんでいただきたいというふうに要望いたします。 以上でございます。 ○議長(渡辺英気君)  次の項目に移りますので,答弁者は控席へ。 1番。   〔 1番 氏平三穂子君 登壇 〕 ◆1番(氏平三穂子君)  次は,児童手当差し押さえは違法と断じた鳥取地裁の判決,行政による差し押さえの問題点についてお伺いいたします。 3月29日,鳥取地方裁判所が,預金口座に振り込まれた児童手当13万円を差し押さえ,滞納していた県税に配当した鳥取県の処分は正義に反すると断罪をいたしました。今回の判決は,預金債権の差し押さえが,児童手当の振り込みを認識し,その振り込みにあわせて実施したものであり,差し押さえ禁止債権である児童手当受給権の差し押さえがあったものと同様の効果を生ずると判断をされたものであります。 そこで,総務部長,保健福祉部長にお尋ねをいたします。 本県の県税や国保税の滞納処分において,鳥取地裁判決と同じような禁止財産と疑われる財産の差し押さえの有無について教えてください。 そして,行政の仕事は,県民の命と暮らしを守ることであり,差し押さえに当たっては,県民の生活や経営実態をきちんとつかみ,禁止財産ではないという根拠を明らかにして差し押さえるべきであり,また,禁止財産と疑わしい財産は,差し押さえをやめるべきだと思いますが,代表して総務部長の御所見をお願いいたします。 ○議長(渡辺英気君)  総務部長佐藤兼郎君。   〔 総務部長 佐藤兼郎君 登壇 〕 ◎総務部長(佐藤兼郎君)  お答えいたします。 差し押さえの問題点についての御質問でございますけれども,禁止財産と疑われる財産の差し押さえの有無についてでございますが,児童手当など法令で差し押さえが禁止されている給付金等でありましても,預金口座に振り込まれた時点で一般財産となるといった最高裁の判例がありまして,差し押さえはできるというふうにされております。また,法律の定める徴収手続によれば,預金のもととなる財産の種類につきましては,調査を要しない取り扱いというふうにされているところでございます。こうしたことから,本県においても,これまで差し押さえ禁止財産が含まれている口座の預金を差し押さえられた事例については,あったものというふうに承知しております。 次に,所見についてでありますが,県税の滞納処分に当たりましては,預貯金,給与や動産,不動産等とともに,必要に応じまして滞納者の家族構成,就業や事業の状況等を調査し,その生活や経営実態の把握に努めているところでありまして,こうした調査により判明した換価可能な財産について差し押さえることとしております。このたびの鳥取地裁判決におきましては,これまでの最高裁判例は踏襲しつつ,児童手当以外に入金がない口座を,そのことを知りながら差し押さえを行った場合に限り,実質的に児童手当法の精神を没却するような裁量逸脱があったものとして,違法なものと解するというふうにされたところであります。県といたしましては,当面,この判決の趣旨に鑑みまして,差し押さえを行うに当たっては,慎重を期してまいりたいというふうに考えております。 以上でございます。 ○議長(渡辺英気君)  保健福祉部長伯野春彦君。   〔 保健福祉部長 伯野春彦君 登壇 〕 ◎保健福祉部長(伯野春彦君)  お答えいたします。 禁止財産と疑われる財産の差し押さえの有無についてでありますが,国保税については,国保の保険者である市町村において賦課徴収するものでありますが,県では,市町村に対し,滞納処分に当たっては滞納者の生活実態を十分把握した上で適切に対応するよう従前から助言してきており,市町村からもそのような例はないと聞いております。 以上でございます。 ○議長(渡辺英気君)  1番。   〔 1番 氏平三穂子君 登壇 〕 ◆1番(氏平三穂子君)  総務部長,お願いいたします。 聞くところでは,かなり禁止財産を押さえているという事例を聞いております。例えば,備前市の事例ですけども,6人の子供を持つ父親が5月に派遣切りに遭って,失業中の6月に児童手当の入金が36万円あった。午前中にコンビニで20万円引き出して支払いを済ませて,午後生活費を引き出そうとしてATMに行くともう差し押さえられていた。それから,これは倉敷ですけども,とび職をしている方が県税を滞納していて,23万円給料が振り込まれて,その日に差し押さえられて,もう生活ができない,こういう実態が98年の最高裁のやっぱり判例を受けて,岡山県の中でも,私はまだまだ聞いておりますけども,あるわけですね,本当に生活ができないというふうな困窮実態を聞いておりますので。やはりそこのところは,生活や経営の状況をしっかりとつかんで,取り上げたらもうあしたから食べていけれないという,こういう事例までも差し押さえられている事例がたくさんありますので,やはり私は禁止財産で,児童手当や年金を差し押さえていることもあると言われてましたけども,おっしゃったように,本来の押さえてはならないようなところまで踏み込んで,差し押さえが行き過ぎているんではないか,これについて,私はきちっと県で市町村に実態を把握するようにしていただけたらというふうに考えておりますけども,十分おつかみでないようですので,その辺は総務部長,いかがでしょうか。 ○議長(渡辺英気君)  総務部長,答弁席へ。   〔 総務部長 佐藤兼郎君 登壇 〕 ◎総務部長(佐藤兼郎君)  再質問にお答えいたします。 差し押さえの具体的な事例があるというお話でありますけれども,先ほどもお答えしましたように,最高裁判例に基づきまして,県としてはそういった事例について,差し押さえた事例もあるということでございますけれども,実際のその滞納処分に当たりましては,滞納者の財産調査,こういったものは十分するようにしておりますし,その際には,必要に応じて家族構成でありますとか,事業の経営状況,こういったものを十分確認するというなことにしております。その上で,生活や経営の実態を十分見た上で効果的な徴収対策につながるようにつなげていきたいというように思っておりまして,そういった意味では,調査の結果,差し押さえるべき財産がないといったような場合には,これは当然滞納処分の停止を行うということにしておりますので,今後とも,調査については十分行った上で滞納処分というものは適切に行っていきたいというふうに考えております。 以上でございます。 ○議長(渡辺英気君)  1番。   〔 1番 氏平三穂子君 登壇 〕 ◆1番(氏平三穂子君)  ありがとうございました。 実際に生活の実態,営業の実態を把握して差し押さえるといっても,そうではない実態もあるということを,私たちは事例をいっぱい持っているわけですから,そこは部長,しっかりそれぞれの市町村にそこを本当に把握してやっているのかということについては,きちっと指導を徹底していただきたいと思いますし,また,納税の緩和制度があったり,徴収猶予または滞納の処分の執行停止など,いろいろ制度があるわけですから,こういうことも周知徹底をして,市町村が本当に命を奪うような差し押さえをやらないというところでは,きちっと指導していただきたいというふうに思いますが,最後,御答弁お願いいたします。 ○議長(渡辺英気君)  総務部長,答弁席へ。   〔 総務部長 佐藤兼郎君 登壇 〕 ◎総務部長(佐藤兼郎君)  お答えいたします。 市町村を十分に指導しろということでありますけれども,考え方としまして,市町村においては,また,それぞれの市町村としての個別の事情とか考え方というものがあると思いますので,そういったことについては,今回の判例もありますので,我々もその市町村が一緒に徴収するという事例もありますし,それから滞納整理推進機構という機構の中で,市町村と一緒になって,職員が来てもらって徴収をするというような事例もありますので,こういったものの中で一緒にやっていく中で,お話のようなことについても,市町村は十分,我々の指導も見ていただきながら適切な対応をしていただけるのではないかというふうに思っております。 以上でございます。 ○議長(渡辺英気君)  次の項目に移りますので。 1番。   〔 1番 氏平三穂子君 登壇 〕 ◆1番(氏平三穂子君)  次は,認知症施策の推進について,保健福祉部長にお尋ねいたします。 政府の社会保障制度改革国民会議の報告書は,サービスの効率化,重点化を求め,安倍政権は介護保険制度で要支援と認定された軽度者向けのサービスを見直す,いわゆる要支援切りを明確に打ち出しました。要支援1,2と認定された高齢者を保険給付の対象から外し,地域包括推進事業(仮称)に段階的に移行させていくと明記したのです。地域包括推進事業は,市町村が地域の実情に応じて行う事業であり,サービス内容の後退,また,市町村格差が出ることが予想されます。私も10年ほどケアマネジャーをしておりましたけれども,私の体験では,軽度と認定された方々は,かなり認知症のある方が多い,また,老々世帯が多い,こういう方はヘルパーの生活支援を受けることで,その人らしい生活が維持され,何とか自分の家で生活をすることが可能になっています。こうした国の動きが進めば,認知症の方々は重度化が進み,在宅での生活が困難になると考えられます。御存じのように,認知症は,住みなれた環境,なじみの人間関係の中で生活できることで重度化を防止できるとされています。国民会議の報告書では,第6期以降の介護保険事業計画を地域包括ケア計画と位置づけるとともに,認知症高齢者に対する初期段階からの対応や生活支援サービスの充実を図ることが必要であるというふうに言われているにもかかわらず,軽度者の保険外しはこの認知症施策の推進に矛盾をするのではないかと,私は考えます。認知症施策の推進に矛盾する介護保険制度の見直しは,制度の改悪であり,中止を国に求めるべきと考えますが,この考え方について保健福祉部長のお考えをお聞かせください。 ○議長(渡辺英気君)  答弁を求めます。 保健福祉部長伯野春彦君。   〔 保健福祉部長 伯野春彦君 登壇 〕 ◎保健福祉部長(伯野春彦君)  お答えいたします。 介護保険制度の見直しについての御質問でありますが,お話の報告書では,今後,高齢者が地域で暮らしていくために必要なさまざまな生活支援サービスが切れ目なく提供される地域包括ケアシステムづくりが求められており,そのためには,現行の地域支援事業を地域ケアの一翼を担うにふさわしい事業に再構築すべきとされております。認知症高齢者に対しては,初期段階からの対応や生活支援サービスの充実を図ることが必要とされており,地域支援事業を地域の実情に応じた柔軟かつ効率的なサービスの提供ができるよう,その質を高めることによって,認知症高齢者を含む要支援者への支援も可能となると考えられます。いずれにしても,要支援者へのサービスを地域支援事業へ移行させていくことについては,現在,国の社会保障審議会の介護保険部会で,現状や課題を踏まえて審議されているところであり,その状況を注視してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(渡辺英気君)  1番。   〔 1番 氏平三穂子君 登壇 〕 ◆1番(氏平三穂子君)  ありがとうございました。 ただ,市町村にもう丸投げをしていくということになるわけですねえ,こういう軽度の人は,地域支援事業ということで。これは,市町村の財源やいろいろ事情が違ってくるわけですから,ほとんどサービスがなかなか提供できない市町村もあるかもしれない。その辺のところで,県としては,もうそれは市町村がやることなんだから,それは市町村任せでもう何もできないというふうなことでお進めになるのか,それともやはり国のそういう政策を受けて,市町村がしっかりと助成策をどのようにつくっていくのかということで,県としての市町村に対する役割というのは何なのかなと,私も思うんですけども,その辺の役割と,それから必ず格差ができてくると思うんですね,市町村単位で。この格差については,やはり県がその辺の調整をするというのが,本来県の仕事というふうに認識しておりますけども,この辺,県がこれから地域支援事業を市町村がやることに対してどのようにかかわって責任を果たそうとされているのか,ちょっとお聞かせください。 ○議長(渡辺英気君)  保健福祉部長。   〔 保健福祉部長 伯野春彦君 登壇 〕 ◎保健福祉部長(伯野春彦君)  御質問でございますが,県として何らかの役割を果たすべきではないか,あるいは市町村ごとに格差が生じるので,その調整を県としてすべきではないかということにつきましてでございますが,御指摘のとおり,この要支援者のサービスを市町村事業にするということについては,市町村がやはり地域の実情に応じていかに適切なサービスの提供体制を構築するかというのが鍵になってきます。ですので,先生の御指摘のような格差が生じるのではないかといったような御意見というのは,実は社会保障審議会の介護保険部会においても同じような意見が提示されております。現時点で県の役割とか格差のことを言及するのはなかなか難しいのは,まだ具体的な制度設計が国において,今まさに検討されているという段階でございますので,県としては,そういった国の制度設計の中で県の役割がどうなるのかということも含めて,引き続きその動向を注視してまいりたいというふうに思っております。 以上でございます。 ○議長(渡辺英気君)  次の項目に移りますので,答弁者は控席へ。 1番。   〔 1番 氏平三穂子君 登壇 〕 ◆1番(氏平三穂子君)  それでは最後に,教職員の勤務評価と賃金リンク問題について,教育長にお尋ねをいたします。 7月31日付の山陽新聞によりますと,県内の教職員の2012年度休職者112人中,精神疾患70人,また,2012年全教勤務実態調査の本県分の結果では,1カ月平均時間外労働72時間49分,持ち帰り仕事16時間23分,臨時教職員の割合も全国平均を上回っています。県内の教職員の多忙化,過密労働は,まさにブラック企業の様相を呈しているのが実態でございます。その上に,賃金が今削減をされておりますし,これから管理職以外においても,人事評価制度が本格的に実施され,勤務評価が賃金にリンクされようとしているのですから,教員もたまったものではありません。 そこでまず,お尋ねしたいのは,学校現場という多様な教育活動が行われる場において,勤務評価が果たして信頼性があり,教職員の納得が得られ,所期の目的が達成されているとお考えなのでしょうか,教育長にお尋ねをいたします。 次に,賃金へのリンクですが,勤務評価でもって賃金が左右され,将来の生活にも影響が出るとなると,事は重大な問題です。しかも,学校ごとに枠の配分がありまして,そしてそれはもうそこの学校では2人だけがかなり飛び級といいますか,賃金が上がるというふうに数が枠がありますと,もう学校の中が本当に団結していかないといけないのが分断されてくる,同僚性が壊されてしまうのではないかというふうな懸念もありまして,私もそういうことを考えておりますけども,その辺はどうでしょうか。また,その評価の方法が1年間,単年度の評価をもって処遇に反映するということになりますと,もう一年間で何とかいい結果を出そうとして,教育の継続性が損なわれ,本当に目先の近視眼的な教育になってしまうのではないでしょうか。したがって,このような制度の導入はすべきではないと考えますが,いかがでしょう。この人事評価制度の本格実施について御指摘をさせていただいた内容について,教育長の御答弁をお願いいたします。 ○議長(渡辺英気君)  答弁を求めます。 教育長竹井千庫君。   〔 教育長 竹井千庫君 登壇 〕 ◎教育長(竹井千庫君)  お答えいたします。 まず,教職員の勤務評価等についてのうち,信頼性等についてでありますが,教職員の評価制度は,学校組織の活性化と教職員の資質,能力の向上を目的に導入したものであり,適正な評価を行うために,管理職が日ごろから授業等を観察し,教職員にフィードバックしたり,必要に応じて教職員からの自己評価を参考にするとともに,管理職の評価能力を高める研修を継続的に実施しております。また,勤務評価の実施状況を確認する教職員へのアンケートでは,管理職からの評価結果についての理解を問う質問に対して,肯定的な回答が90%以上,導入目的の達成に対する肯定的な回答が50から60%となっており,以前よりも高まっております。今後とも,教職員の信頼性や納得性が高まるとともに,導入目的が達成されるよう,工夫,改善に努めてまいりたいと存じます。 次に,人事評価制度の本格実施に対する所見についてでありますが,学校では,中期ビジョンに基づき,年度ごとに重点的に取り組む経営計画を策定し,教職員が共通理解を図り,協働して取り組むこととしております。このため,個人の取り組みとともに,同僚等との連携協力についても重要な評価対象としております。また,この制度は,教職員が中期ビジョンの実現に向け,当該年度に取り組んだ活動を評価するものであり,結果だけではなく,その過程で発揮された能力や意欲も評価対象としております。県教委といたしましては,児童生徒のために意欲的に頑張っている教職員が適正に評価され,その結果が処遇に生かされることは必要であると考えております。 以上でございます。 ○議長(渡辺英気君)  1番。   〔 1番 氏平三穂子君 登壇 〕 ◆1番(氏平三穂子君)  ありがとうございました。 アンケートもとられて,個々の教員の資質を向上させて,そして学校を活性化させるということで取り組まれているということですけども,やはり私が聞いておりますのは,学校のように少ない管理職,二,三人ですよね,学校。それで50人ぐらいの先生がいらっしゃる。そういう二,三人で評価ができると思えない,少なくとも行政であれば,課長さんがおられたり,10人ぐらいの部署に1人の管理職がいて,その課単位での評価なら可能だと思うけれども,年に数回の授業を見て,一回も授業を見てもらってないという先生も何人もおられましたけども。校長も大変ですから,そして教務室の仕事だけで妥当な評価は,もうそれは無理ですというふうな御意見もいただいておりますし,また,学校組織というのは,企業と同じであるという事実誤認に基づいた考え方だと思うんですね。企業の従業員は日常提携業務が,これがチームワークで上司も同じ場所にいますが,学校の教員の日常提携業務は,授業,クラス運営,部活活動,上司は同じ場にいないわけです,常に。しかも,単独業務なんですね。だから,指揮命令も全く違う,もうこういう制度は教育という特別というか,こういう現場ではなじまない制度だというふうに,教員の方はもう納得をしていない方がたくさんいらっしゃるというふうに,私は現場の声を聞いております,県政に現場の声をしっかり届けるのが私たちの仕事ですので。その辺本当に納得をされておられると御認識でしょうか。ちょっともう一度そこのところをお聞かせください。本当に正しく評価をしてもらえる仕組みになっているというふうに,教員たちが思っていらっしゃるんでしょうか,その辺の御認識を。 ○議長(渡辺英気君)  教育長。   〔 教育長 竹井千庫君 登壇 〕 ◎教育長(竹井千庫君)  お答えいたします。 少数の管理職が多数の教職員を評価する,それで正しい妥当な評価ができるのかということでありますけれども,基本的に学校の仕事というのは,教職員一人一人がしっかりやっていくという部分もありますけれども,当然学年の集団,それから分掌というのもございますから,そういう分掌の中でみんなでチームワークをとりながら仕事をしていっていると。管理職も先ほど申し上げましたが,授業だけではなくていろんな場面,観察といったような形で,そしてその結果を教職員と適宜コミュニケーションとりながらフィードバックしていくということで,確かに多数の教職員がいる学校では厳しい部分もありますけれども,いろんな工夫をしている,教職員から自己評価を求めていくといったような形で,少しでも多くの情報を集めてより適正な評価がなされるような,そういう工夫はしておりますので,教職員のアンケートによりましても,90%を超えて管理職の評価について理解ができるということでありますので,私は全員がとは申し上げませんけれども,そういう理解が非常に高まってきているというふうには認識をしております。 以上でございます。 ○議長(渡辺英気君)  1番。   〔 1番 氏平三穂子君 登壇 〕 ◆1番(氏平三穂子君)  認識をされているというようですけど,実態は違うと思うんですね。私は,病院で管理職やっておりまして,MBOという目標管理で二十数年間やってまいりました。面接は,非常に有効だと思っています。校長と教員が本当に膝を突き合わせて,悩みを話したり,それは私も実感してます。そういう場が日ごろないですから,そのことの中で本当にその人の思っていることを引き出したり,学校長に対する注文も出たりすれば,お互い相互にいい関係ができますので,私たちはそれを評価というんじゃなくて,育成面談というふうにずっと言ってる,育成,お互いが育っていく面談,これは大事なことだと思うんですね,教育現場においても。しかし,この育成面談が,評価面談が,賃金にリンクされると,もうそんなに自分が弱いところとか困っていることを,私は校長に言うでしょうか,評価されるわけですから。やはりその辺のところは,育成面談は非常に有効だし,対話ができて校長に対する信頼と校長にみんなが集中していくという学校づくりの大きな力になる可能性はあるかもしれませんけども,それが賃金にリンクされるとなると,やはりこの面談そのものが,私は形骸化をしていくんではないかというふうに,自分の体験でも思っています。私のところは,もちろん賃金にリンクはされないということですから,本音でお互いに話し合いが十分できまして,師長に対する信頼,部下に対する信頼が深まったという,これについては必要なことかなというふうに思うんですけども。それが賃金にリンクするとなると,本当に本音で弱いところを出したり,相談したりというふうなことができるようになるとお思いでしょうか,ちょっとその辺,教育長の御所見を。 ○議長(渡辺英気君)  教育長。   〔 教育長 竹井千庫君 登壇 〕 ◎教育長(竹井千庫君)  お答えいたします。 面接とそれから賃金リンクによります面接の内容の形骸化というようなお尋ねでありますけれども,この評価システムにつきましても,育成評価システムというふうに名称も,育成という面を入れております。やはり教育活動というのは,いろんな面で悩みながらそれをみんなで協力して力出し合って改善に取り組んでいくということでありますので,管理職との面談という部分と,それから同僚との相談という部分と,いろんな面でのコミュニケーションというのが,私は学校現場というのは大切だろうというふうに思っております。それから,やっぱり一方で,一生懸命生徒のために頑張っている,そういう教職員が評価されてくるというのも,現場に士気を高めていく上においても有効ではないかなというふうに思っております。そういうことを全部ひっくるめて,やはり悩んでいる,あるいは困っている教師が評価が低くなるというんではなくて,そういうようなものをみんなで取り組んで,よりよい方向に持っていったものが高く評価されるという,そういう評価育成システムということを我々は考えているわけでございます。 以上でございます。 ○議長(渡辺英気君)  1番。   〔 1番 氏平三穂子君 登壇 〕 ◆1番(氏平三穂子君)  ありがとうございました。 教育長も悩んだりいろいろしながら取り入れていこうというふうに思っていらっしゃるようなんですけど,実は社会心理学の研究領域のことをちょっと触れますけども,仕事の満足要因となるのは達成感,それから了承してもらった,仕事そのものというふうに,こういうことがやっぱり仕事の満足度の要因になるんですけども,給与とか上司との人間関係とか作業環境,これは不満足要因になるんです。だから,こういう給与とか上司との人間関係,作業環境は,不満足要因が不足したら,もうそれは労働意欲を下げる方向に行くというふうに言われているわけですね。だから,給与が上がる人というのは,全員,今や同じように上がるけども,一部の,25%ぐらいの人は,確かに給与も上がって達成感もあってというかもしれませんけども,75%の人たちは,やっぱりモチベーションが下がるんじゃないんかと思うんですね。そうなってくると,本当に全体のモチベーションを上げるということには逆行するように思うんですね。この間,平成18年からこの評価制度を取り入れられてやってこられて,今6年間たっているんですけども,皆さんどうでしょう,この6年間,この評価制度を取り入れて,教育現場は一向によくなってなくて,むしろ問題が起きているというふうに,この評価制度が短絡的に問題であったというふうには言いませんけども,やっぱり校長は本当に学校活性化をさせて,一人一人の資質を上げていくという方法論については,私はこの評価とか賃金リンクというふうな方法ではうまくいかないのではないかなというふうに思うんですね。 先般,政策セミナーで,岡大の中富先生が教育委員会のお話をしていただいたんですけども,そこで「効果のある学校」という論文がインターネットで厚労省から出されている,子供たちの学力水準を下支えする学校はどういう特徴があるのかという,その論文を読ませていただきますと,1番はやっぱり校長のリーダーシップというのがありますけども。しかし,2番目の大きなのは,やっぱり先生たちが気持ちのそろった教職員集団がそこにあるというのが,非常に大きな要素になっているということで,スクールバスモデルというのも出てましたけども。やはり気持ちのそろった教職員集団がそこにできていかないと,そしてそれを教員が校長に信頼関係を深めて一緒にやろうというふうな,こういう職場にしていかないと,やっぱり教育の現場は,変わらない。そういう中で今のこの評価制度や賃金リンクするのも,全くもう逆行をして,分断して,これからこの制度をごり押ししてやられるんだったら,学校の現場が本当によくなるのか,見せていただきたいというふうに思いますけども。私は,考えていただかないといけないというふうに思いますよ。 ○議長(渡辺英気君)  氏平君,発言時間を超過しておりますから注意します。 ◆1番(氏平三穂子君)  (続)じゃ,よろしく御検討をお願いして,以上で終わります。ありがとうございました。 ○議長(渡辺英気君)  答弁者は自席にお戻りください。 この際,午後1時まで休憩いたします。        午前11時38分休憩   ~~~~~~~~~~~~~~~        午後1時再開 ○副議長(井元乾一郎君)  休憩前に引き続き会議を開きます。 一般質問を継続いたします。 7番上田勝義君。 答弁者は控席へ移動願います。   〔 7番 上田勝義君 登壇 〕 ◆7番(上田勝義君)  皆さん,こんにちは。 それでは,一般質問初日の3番目となります7番自由民主党上田勝義です。 きょうは,フルーツ王国岡山の一翼を担うとともに,デニムでも産地として一翼を担う県内有数の産地であります私の地元,井原市から多くの皆様に傍聴にお越しいただきました。伊原木隆太知事の軽快で明快な,そして美星町の夜空にきらりと輝く星のごとく明るい笑顔の答弁をよろしくお願いいたします。また,6月定例会後,すぐに県産品愛用の日として取り組みを始めていただきましたので,私も県産品のデニムスーツ着用で,きょうは頑張ります。 それでは,質問に入ります。 まず,歴史的資産とまちづくりについてで,重要伝統的建造物群保存地区についてであります。 重要伝統的建造物群保存地区は,文化財保護法に規定する文化財種別の一つで,市町村が条例などにより決定した伝統的建造物群保存地区のうち,文化財保護法第144条の規定に基づき,特に価値が高いものとして,国が選定したものであります。略して重伝建と言われています。2013年8月現在,日本全国で41道府県84市町村の104地区が選定され,岡山県では,1977年5月に高梁市吹屋地区が最初に選定され,1979年に倉敷市の倉敷河畔が,2013年8月に3カ所目として津山市の城東地区が選定されました。県内には,重伝建予備軍とも言える地域がたくさんあります。高梁,矢掛,勝山,玉島とあり,矢掛町の備中矢掛宿の街並みをよくする会が,今年度第8回住まいのまちなみコンクールの国土交通大臣賞を受賞しました。いよいよ重伝建への扉が開かれる素地ができてきたとの感触を得たというのが実感であります。重伝建については,県としては直接的な関与はないと思われますが,関係市町村への側面的なバックアップを今後どうお考えですか,教育長にお伺いいたします。 次に,第36回全国町並みゼミ倉敷大会についてであります。 今月20日金曜日から倉敷市芸文館を全体会の会場として,そして玉島,高梁,浅口,矢掛を分科会の会場として3日間,第36回全国町並みゼミ倉敷大会が開催されます。この大会の主催は,実行委員会とNPO法人全国町並み保存連盟であります。実行委員会の構成員は,行政,民間団体であります。全国の町並み保存にかかわる団体の皆さん,行政関係者,歴史遺産に興味を持たれる個人が一堂に会されるとお聞きしています。岡山県には,先ほども申しましたように,全国で104地区ある重伝建が3地区あるということは,多いし,予備軍もさらに多いという,歴史的遺産,町並みを誇れる地域であります。知事,ぜひ足を運んでいただき,実感していただきたいと思いますが,いかがでしょうか。 次に,県民文化祭とまちづくりについてであります。 県民総参加の文化の祭典,第11回おかやま県民文化祭が開幕をいたしました。ことしのメーンフェスティバルは,美作国建国1300年を記念し,美作地域津山で開催であります。また,備前,備中,美作の各エリアは,「文化がまちに出る!プロジェクト」と銘打って,地域フェスティバルが開催されます。備前・備中では,「歴史と文化が息づくまち,まちと芸術の一体感を楽しむ街角にアートや音楽がいっぱい」と,文化と町のコラボレーション楽しみながら,町に思いをはせる新たな企画をされています。私は,この県民文化祭のコンテンツとして,おかやま町並み博覧会を加えたらどうかと思います。一人一人の県民の皆さんが町並みはみんなのもの,私の家も景色の一部なんだということを認識していただける絶好の機会だと思いますし,県内にはすばらしい町並みが身近にあるということを知っていただくことは重要だと思います。知事の所見をお聞かせください。 次に,保存と観光の両立についてであります。 岡山の観光地といえば,岡山後楽園,倉敷美観地区,蒜山高原と,名称が上がってきますが,近年の県全体の観光客数は横ばいか減少ぎみで推移しているのが気になります。観光は,地域に密着した経済活動で,極めて裾野の広い総合産業として捉えるべきだという前提で考えると,歴史的遺産,町並み保存と観光の両立が重要ではないかというところに行き着きます。町並み保存は,それぞれの市町村の問題だとしても,観光という面から考えると,広域行政の県のかかわりが大きくなります。県内に重伝建,その予備軍とも言えるべき歴史的な町並みが多く存在する岡山県であります。この歴史的遺産を観光振興に生かしていくべきと思いますが,保存と観光の両面についての知事の所見をお聞かせください。 ○副議長(井元乾一郎君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  自由民主党の上田議員の質問にお答えいたします。 歴史的資産とまちづくりについての御質問であります。 まず,第36回全国町並ゼミ倉敷大会についてでありますが,この大会は県や市町村を含め,全国から集まった関係者による現場学習や情報交換を通じて,相互のネットワーク化を図るものであり,今後の保存活動の活性化や地域のさらなる振興につながるものと期待しております。残念ながら,今回の大会には参加できませんが,県内の歴史的な町並みのすばらしさは実感しているところであり,今後とも,観光や文化振興に積極的に活用してまいりたいと考えております。 次に,県民文化祭のコンテンツについてでありますが,県民文化祭では,これまでも倉敷で実施した全国町並みゼミのプレ事業を初め,吹屋ふるさと村や勝山の町並み保存地区を会場としたアート展示など,町並みを活用し,広く地域内外に紹介する事業に取り組んできたところであります。地域の歴史と伝統に育まれたすばらしい町並みを県民の皆さんに再認識いただき,地域づくりの場として活用いただくことは,大変重要であると考えており,お話の町並み博覧会につきましても,今後,町並みの活用を進める中で研究してまいりたいと存じます。 次に,保存と観光の両立についてでありますが,地域の伝統的な町並みなど,歴史的資産を持続的に生かすためにも,観光振興は重要な視点と認識しております。本県では,既に吹屋地区のベンガラ染め体験や勝山地区の地元ボランティアガイドとめぐる町並み散策など,体験・交流を組み合わせた着地型観光の取り組みが始まっているところであり,今後,歴史観光に強い興味を示すシニア層が増加する中にあって,矢掛や玉島の町並みなど,歴史的資産を生かした着地型観光素材をより一層磨き上げることが重要であると考えております。 さらに,首都圏や関西圏での観光プロモーションによる旅行商品化に積極的に取り組むなど,市町村,地元関係者等と連携しながら,歴史的町並みの保存と両立する観光振興に努めてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(井元乾一郎君)  教育長竹井千庫君。   〔 教育長 竹井千庫君 登壇 〕 ◎教育長(竹井千庫君)  お答えいたします。 重要伝統的建造物群保存地区についてでありますが,この制度は市町村が国の選定を受け,歴史的な集落や町並みの保存や整備を主体的に進めるものであります。選定に向けては,市町村が地区住民の意向を踏まえながら,保存条例を制定し,保存地区を決定した上で,保存計画を策定する必要があります。県教委では,これまで市町村の要請に基づいて市町村が設置する保存審議会に職員を派遣し,保存地区の範囲や保存計画の内容等について指導・助言を行ってきたところであり,今後も,全国から情報収集し,市町村に情報提供するなど,重伝建選定に向けた支援に努めてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(井元乾一郎君)  教育長,答弁席へ。 7番。   〔 7番 上田勝義君 登壇 〕 ◆7番(上田勝義君)  御答弁ありがとうございました。 重伝建についてでありますけども,先ほどもお話ししたように,まずは矢掛が,岡山県内でいえば,一番近いかなあというふうに思うわけであります。その伝建地区のどの地域を見ても,地域の団体,NPO化しているところもありますし,NPO化してないけども,保存する会とかということで,地域の住民の皆さんで団体をつくって一生懸命やっているという地域があるわけでありますけども。これは,今は協働のまちづくりという側面も,非常にこれは強いと思うんですよね。それぞれの県民局単位で協働の部署と一緒にされているということもありますけども,これは文化財の関係で教育委員会の管轄にこの重伝建とかはなってるんですけども,教育委員会とそのまちづくりのところというのは,非常に接点が非常に難しいと,僕は思うんですよね。だから,重伝建についていえば教育委員会なんだけども,でもこれは本当はまちづくりなので,教育委員会じゃない部署で力を入れていただきたいとは思うんですけど,これは縦割りの関係でこれは非常に難しいこととは思うんですけども,これについて教育長,教育委員会的にはこうなんだけど,コラボレーションするとすれば,どういうふうにできるというようにお考えでしょうか。 ○副議長(井元乾一郎君)  教育長。   〔 教育長 竹井千庫君 登壇 〕 ◎教育長(竹井千庫君)  お答えいたします。 県教委の部分と市町村教委の部分で,基本的には重伝建の関係は市町村が主体的にやっているということでありますが,現在でも選定までの流れの中で,市町村の首長部局がやる部分と,それから市町村の教育委員会としてやる部分の両面がありまして,いずれにいたしましても,それぞれの市町村では分けてやるというよりは,一緒になって選定の作業を進めておるということでありますので,今おっしゃった住民のグループなどと行政と教育委員会が一緒になって盛り上げていくといったようなことが必要ではないかなというふうに思いますので,我々といたしましても,できる範囲のことの支援はさせていただきたいというふうに思っております。 以上でございます。 ○副議長(井元乾一郎君)  7番。   〔7番 上田勝義君 登壇 〕 ◆7番(上田勝義君)  これは,もうお願いになりますけども,先ほどお話ししたように,矢掛,それから勝山,それから玉島というところが,非常に盛り上がりもありまして,今まで地道にその活動を地域でされてるし,重伝建になる距離が非常に近いというふうに,皆さんもよくその関係者言われますので,その方向性に向かってぜひとも,先ほど申してましたが,県は直接ではありませんけども,バックアップをしていただきたいというように思います。これは御要望でお願いいたします。 ○副議長(井元乾一郎君)  ほかの項目はよろしいか。 ◆7番(上田勝義君)  (続)はい,次行きます。2番目の項目に。知事に。 ○副議長(井元乾一郎君)  知事,答弁席へ。 7番。   〔 7番 上田勝義君 登壇 〕 ◆7番(上田勝義君)  知事,答弁ありがとうございました。 町並みゼミへ,実はこの週末でして,議会中でありますので,私もできたら行きたいなと思ったんですが,ちょっと部分的にしか行けないんですけども。これは,非常に熱い思いを持った方が集まられるので,先ほどの重伝建のことも含めていえば,しっかり外にアピールするいいチャンスなので,このたびは行っていただけませんけども,しっかりとこれからもサポートを知事としてお願いしたいというように思います。 それから,県民文化祭のコンテンツとして,町並み博覧会をということで,前向きな御答弁はいただけたものというように,私は解釈をしていますけども。先ほどの地区以外にも,例えばこの県民文化祭の中でいえば,総社で「れとろーど」という,これはちょっと新しい時代に入ってきますけども。そういうことでやっておられる。それから,瀬戸内の備前福岡の市ですかね,これもその時代の,余りその町としては,その町並みとまではいかないですけども,歴史的なものを生かしたまちづくりをしようという,こういう団体が非常に各地区,県内にありますよね。その県民文化祭の中でやられているところもあるし,そうではなくて定期的にやられてるというところもあるわけで,できたら県民文化祭にあわせて町並みを皆さんで再認識するという,それからいい町並みをやっぱり皆さんに見ていただく。今の町というのは,今,古民家を再生するというのは,非常にこの近年,一般の皆さんでも認識をいただけるような時代になったということ。やっぱり町並みを守るというのは,町は生きてますよね,住まわれているわけだし。その生きてる町だから保存をして観光に結びつけていこうということになっていくわけで,そのまま保存するというんじゃ生きてきませんから,その中でしっかりと守っていくということをお願いするということでいえば,県民文化祭で1つに,柱というか,1つのコンテンツでやっていただけたらいいなあというように思うんですが,再度質問します。 ○副議長(井元乾一郎君)  知事。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  町並みを保存する,もともとある町並みを生かしていくこと,そのことに関して,県民文化祭との関連でどうかという御質問に対してお答えをいたします。 議員おっしゃるとおり,それぞれの町に残されている伝統的な町並みを生かしていくというのは,もういろんな意味で大切なことだと思っています。とりあえず思いつくもので挙げてみるとするならば,あるものを生かしていく,ないものを嘆いてどんどんつくらなきゃあいけないということじゃなくて,あるものを生かしていくという意味でも大切ですし,何か全部ミニ東京みたいにするのではなくて,岡山の文化は,例えば,東北の文化,九州の文化と違うところもたくさんあります。自分たちの独自性というのをきちんと認識して,それについて誇りを持って受け継いでいくという点でもう大切だと思いますし,あと観光という面におきましても,例えば,世界で一番高いビルをつくるみたいなことで人を引っ張る戦略もあるとは思うんですけれども,そういう戦略の場合,2番目,3番目になると,急に集客が落ちてしまうとか,そういうことがあるんですけれども,例えばフィレンツェですとか,ベニスのような,もう本当に独特の,もうまねすることができない,数百年かかって築き上げられてきた建築ですとか,生活様式というのは,非常に息の長い魅力的な観光資源になりますし,そこに住んでいる人の誇りにもつながるものだと思っています。ぜひ私たちの県,地域に残っているそれぞれの町の文化的な遺産については活用をしていきたい,保存していきたい,PRしていきたいと思っています。県民文化祭については,私自身に全ての権限があって,何か私が勝手に決められるようなものではないので,今ここでどうする,こうするとは申し上げられないんですけれども,非常に大切なことなので,そういったものもいずれ含まれていく,もしくは県民文化祭以外のところでもいろいろな盛り上がりが起きてくるはずですし,起きていかなければいけないと思っております。 以上でございます。
    ○副議長(井元乾一郎君)  7番。   〔 7番 上田勝義君 登壇 〕 ◆7番(上田勝義君)  ありがとうございます。 ちょっと4番目の保存と観光のところまでちょっと質問が入ってしまったんですけども,改めてこの4番の保存と観光との両立というところへ行きたいと思うんですけども,なかなか生活をされているその町並みを観光にするということになると,プライバシーの問題でありますとか,それから例えばもう車を入れないというような選択をすると,非常に生活をされる方からすれば不便な状況が生じるというようなこともあって,なかなかその保存とその観光の両立というのは,難しい課題なんですよね。ただ,今までやってきている中で,やはりこれから,今まであるものを我々次の世代に引き継いでいくということからいえば,やはりこれは観光もしながら,観光と両立させながら,次に引き継いでいくということが,歴史的な遺産を残す一つの大きな方法だろうというふうに思うんです。先ほどから申しますように,岡山県の中には結構よそに負けないぐらいのものがたくさんあります。だから,これを今以上にというのはなかなか難しいですけども,せめて今のものはしっかり引き継いでいけるように,両立ができるように,例えば税制的なものを恩恵というか,優遇できるとかということもあるかなあというふうに思うんですが,なかなかその辺はいろんな制約があって難しいと思うんですけども,そこのところ,知事,再度お願いいたします。 ○副議長(井元乾一郎君)  知事。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  伝統的な景観の保存に関しまして,両立をどういうふうにしていくのか,その利便性,プライバシーの問題を抱えながらも保存に努力している人に何かしら行政のほうで税金,その他の支援ができないかという御質問に関してでございます。 確かに,歴史的な建物というのは,定義上,最新の建物ではないわけでありますので,利便性において何というか,今,新しくつくった建物のようなことにはまいりませんし,改装をしたい,増築したい,そういったときにも,足かせになるわけでございます。現に,私が大変尊敬しております倉敷の大原さんは,そういう歴史的な地区に現にお住まいでございまして,もういろんなことで不便なことはあるということをおっしゃられるわけでありますけれども,それをはるかに上回る自負というかプライド,この倉敷の伝統を守っているんだという思いで頑張られているというふうに伝わってきてまいっております。実際にそこを保存しようと,別の町の人,観光で時々訪れる人からすると,もう当然保存してほしいということですけれども,住んでいる人にとっては,毎日のことですので,なかなか大変です。そういった方々が多少の不便はあるけれども,保存したいと,皆さんにお伝えしたい,残していきたいと思えるようなプライドが持てるようなお手伝いというか,御支援は,何らかしていきたいと思っています。ただ,それがどういう形になるのかは,今ちょっと私のこの場での思いつきで申し上げるわけにはいきませんけれども,当然これを後押ししたいわけですから,何かいろいろ考えていきたいと思っております。 以上でございます。 ○副議長(井元乾一郎君)  7番。   〔 7番 上田勝義君 登壇 〕 ◆7番(上田勝義君)  知事としては,なかなかここで明確にいろいろ思いをお話はできないと思います。ただ,お気持ちは十分バックアップをしていただけるんだということは,感じました。 ちょっと最後に紹介をするんですけども,都市景観大賞という賞がありまして,これは平成21年に真庭の勝山の町並み保存地区が,そして平成22年には倉敷の美観地区が,そして平成24年には高梁の吹屋地区が国土交通大臣賞を受賞しています。先ほど紹介しましたように,非常に全国でも特筆すべき地区であろうというように,私はもう自分自身で岡山県人として誇りに思っています。それだけに,しっかりと保存と観光ということでバックアップをこれらお願いしたいというように思います。これで私,お願いで終わります。 ○副議長(井元乾一郎君)  次の項目に移ります。 7番。   〔 7番 上田勝義君 登壇 〕 ◆7番(上田勝義君)  次に,2点目でありますけども,県民の皆さんからの声についてであります。 まず,「県政への提言」についてであります。 本年1月から実施している「県政への提言」の全てに目を通され,常に事細かく丁寧に対応していただいているものと思いますが,岡山県全体ということになると,非常に広域にわたりますので,知事自身が把握し切れない事象もあるかと思います。そのことを踏まえて,県政への反映状況等率直な感想をお聞かせください。 次に,「知事と一緒に生き活きトーク」についてであります。 県政の重点分野について,知事が直接県民と自由に意見交換する場を設け,県民のニーズの把握と意見,提言の県政への反映に努めるとともに,県民の県政への参画を促進することを目的として,平成25年2月から開催されています。今までの開催についての率直な意見をお聞かせください。また,今後は重点分野だけでなく,県政全般についてとか,地域課題についての開催ということがあってもいいのではないかと思いますが,このことについてもあわせてお聞かせください。 ○副議長(井元乾一郎君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  お答えいたします。 県民の皆さんからの声についての御質問であります。 まず,「県政への提言」についてでありますが,ことし1月の開設以来,8月末現在で298件の提言が寄せられたところであり,例えば,ひきこもりの相談や支援を保健所でも実施していることを県ホームページに明記すべしとの御意見などは,すぐに対応したところでございます。県政への提言は,県政全般に対する県民の生の声を直接伺うことができる大切な制度と考えておりますが,単なる問い合わせや事実誤認に基づく批判,中傷なども少なからず見受けられるところであり,前向きな御意見,御提言をという制度の趣旨が十分に周知できていないのではないかというのが率直な感想であります。今後とも,制度の周知を徹底するとともに,建設的な御意見につきましては,担当部局に地域の実情も踏まえて前向きに検討させ,可能なものはできる限り迅速に実施するなど,丁寧な対応に努め,県民の皆様の声を県政に反映させてまいりたいと存じます。 次に,「知事と一緒に生き活きトーク」についてでありますが,これまで県政の重点分野に関するテーマについて計6回開催し,47人に御参加いただいたところであります。私は,生き活きトークを御要望をお伺いする場にとどめるのではなく,私を含めた参加者が活発に意見交換を行うことで,現状認識や課題を共有し,課題解決の糸口を見出せる場にしたいと考えており,具体的な論点の設定や参加者が何度も発言できるような進行などの工夫も行ってまいりました。その結果,例えば,「教育県岡山の復活」のテーマでは,公立中学校の生徒指導担当教員の方々から,現場の実情や具体的な改善案を伺うことができ,また,「子育て」のテーマでは,親子カフェといった地域でのすぐれた取り組み事例が紹介されるなど,大きな成果が得られていると考えております。当面は,このようにテーマ絞り込んだ意見交換という方式で進めてまいりたいと考えており,御提案の県政全般や地域課題をテーマとすることにつきましては,今後の検討課題とさせていただきたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(井元乾一郎君)  7番。   〔 7番 上田勝義君 登壇 〕 ◆7番(上田勝義君)  御答弁ありがとうございます。 両方にというか,まず1番の「県政の提言」についてでいえば,知事全部目を通されても,恐らく返される答えについては担当者がされると思うんです。ちょっと聞いたところによりますと,担当者というのは必ず人事異動でかわられるので,ニュアンスは当然Aさんが書かれたものと,それから次に年度が変わってBさんが今度担当になってされると,ニュアンスが多分違ってくると思うんですよね。そのニュアンスによって,ちょっと最近何かかたくなったんじゃないというようなことも漏れ聞くので,知事の声ではないにしても,これはあくまで知事のやっぱり考えなりが反映されるというか,お答えだと思うんですね。なんで,そこらあたりちょっと気をつけていただきたいなあと。前任者のときはこうだったんだけど,何か今度はこうみたいよというようなことを聞くと,知事が変わってということになるので,担当者がかわっても知事が変わったということになるので,ちょっとそこが余り愉快な感じではなかったので,書き方としてあるでしょうけども,お気をつけいただければいいなあというふうに思うんですが,そのあたりどうでしょうか。 ○副議長(井元乾一郎君)  知事。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  「県政への提言」の答え方についての御質問に対してお答えをいたします。 当然提言をいただいたからには,お返しをしているわけであります。お返しの仕方については,本当に具体的な細かい点も多いので,これはもう私がわかりませんと答える,もしくはあれだけの件数に答えるよりは,それぞれの担当者が答えていると。その答えについても,私の判断が必要な場合には,私に事前に問い合わせがあって答えていますし,これはもうこういうことだろうということでお答えしたものについては,後で私が見て,これまで私だったらこういう答えはしないと,全然考え方が逆だということは,これまではなかったということではあります。それにしても,やはり一生懸命提言を書かれた方から見てがっかりするようなお答えにならないようにきちんとお答えしていくように努めたいと思います。 ○副議長(井元乾一郎君)  知事,自席のほうへ。 次の項目に移りますので,答弁者は控席へ。 7番。   〔 7番 上田勝義君 登壇 〕 ◆7番(上田勝義君)  それでは,3項目めに移ります。 教育についてであります。 まず,教育現場における安全教育についてであります。 知らない人に突然声をかけられたらどうするか。各地の小学校で児童が犯罪から身を守る力を養うための授業が広がり始めています。学習のポイントは,現場の状況を観察し,危険をいかに的確に察知するか。地域ぐるみで子供の安全を守る取り組みが浸透する中,ある専門家は,子供自身の意識を高めることで,一段と防犯効果は上がるはずと期待しています。12年前,校内に刃物を持った男が侵入し,児童8人が犠牲になる殺傷事件を経験した大阪教育大学附属池田小学校では,4年前から全学年を対象に,毎週1回ずつ安全科の授業を開いています。防犯の意識と方法を学ぶ授業では,大阪教育大学危機メンタルサポートセンターが開発した安全学習システムを教材として使用しています。児童は,このシステムが学年に応じて設定した13から20項目の質問に答えた上で授業に臨みます。例えば,高学年の場合,質問は,おなかを押さえてうずくまるお姉さんに荷物を持ってと頼まれた,持ってあげるべきか,塾におくれそう,近道の薄暗い神社を通るか等々,大人でも悩ましい質問です。児童が答えを発表し,ほかの児童が感想を述べる形で授業が進み,お互いの意見を交換し合い,適切な対応方法を導き出す取り組みであります。さらに,指導教員は,時間は何時ごろ,周囲の見通しはどうか,近くに大人はいるかといった発生現場の環境を示し,児童らの議論を深めさせていく。このシステムを,岡山県は今後3年間かけて毎年小学校25校程度を対象に試験的に実施したいとの方針と聞きます。私は,早期に全県的に導入すべきと考えますが,県民生活部長と教育長の所見をお聞きします。 また,質問内容を見ると,これは子供だけのことではなく,大人にも大変ためになる内容となっています。大人もかかわる取り組みとしてはいかがでしょうか,県民生活部長にお伺いいたします。 次に,2分の1成人式,立志式についてであります。 伊原木隆太知事は,教育県岡山の復活についての代表質問の中で,学力向上と徳育を強調されています。徳育の推進に当たっては,豊かな人間性を育み,社会の中で活躍する人材を育てる上で,道徳教育の果たす役割は非常に重要ですが,地域も家庭も学校も,子供たちにきっちりと人としてのあるべき姿についてメッセージを送れていないのではないでしょうか。そういう意味合いから,小学校4年生10歳での2分の1成人式,中学校2年生14歳での立志式の場を活用することは,非常に有用だと思いますがいかがでしょうか,教育長にお伺いをいたします。 ○副議長(井元乾一郎君)  答弁を求めます。 県民生活部長山田賢一君。   〔 県民生活部長 山田賢一君 登壇 〕 ◎県民生活部長(山田賢一君)  お答えいたします。 教育についての御質問であります。 まず,安全学習システムのうち,早期の全県的な実施についてでありますが,県では,子供の危険予測能力や回避能力を高める地域安全マップづくりを推進してございます。この取り組みには,精通した指導者の確保や現地の状況調査など,事前準備が必要でございまして,年間50%程度の実施率にとどまっております。このため,パソコン上ではございますけれども,日常の行動等に潜む危険を判断する力を児童が身につけられる安全学習システムを,地域安全マップづくりの補完となりますよう,本年度から3年間のモデル事業として導入したところでございます。県といたしましては,モデル事業を検証した上で,児童の安全意識の向上に向けましてどういう形で学校へ導入すべきか検討をしてまいりたいと存じます。 次に,大人のかかわり方についてでありますが,安全学習システムでは,インターネットを利用して保護者が子供の回答を見て安全について話し合うことにより,子供の理解をより一層深めることが期待できると考えております。また,この学習を通じまして,保護者も安全に関する考え方を子供や学校と共有することができることから,モデル事業を実施する学校の保護者の方に積極的に参加していただくよう努めてまいりたいと考えてございます。 以上でございます。 ○副議長(井元乾一郎君)  教育長竹井千庫君。   〔 教育長 竹井千庫君 登壇 〕 ◎教育長(竹井千庫君)  お答えいたします。 まず,安全学習システムのうち,早期の全県的な実施についてでありますが,学校ではこれまで警察等の関係機関や地域住民の協力を得て地域安全マップの作成や不審者対応訓練など,体験的な活動を通して防犯意識や危険回避能力等の育成に取り組んでおります。お話のシステムは,パソコン上で日常生活でのさまざまな危険な場面の問いに対し,安全な行動や危険への対処方法を児童自身が考えながら学習できるものであり,現時点で5校での試行を予定しております。こうした試行の成果や課題,各学校での防犯教育の実態等を踏まえ,導入について関係部局と協議してまいりたいと存じます。 次に,2分の1成人式等についてでありますが,お話の2分の1成人式や立志式において,子供が自分を振り返り,将来を見詰める機会に,保護者が思いや願いを伝えたり,郷土の先人の生き方に学ぶことは,みずからのあり方を考える上で意義のあることと考えております。県教委といたしましても,子供たちに人としてあるべき姿についてのメッセージを送ることは大切であると考えており,昨年度,挨拶,感謝や思いやりの心,ルール,マナー等の生活信条を作成し,全ての学校・園や家庭に配布して積極的に活用を働きかけているところであります。今後も,2分の1成人式や立志式,生活信条を使った取り組み等が県下全域で行われるよう,市町村教委を通じて,学校,家庭,地域に粘り強く働きかけてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(井元乾一郎君)  県民生活部長,答弁席へ。 7番。   〔7番 上田勝義君 登壇 〕 ◆7番(上田勝義君)  県民生活部長に再度質問をしたいと思います。 大人もかかわる取り組みとしてはというところなんですが,安全・安心ということを非常に今,言われる時代であります。先ほどもちょっと質問を紹介しましたけど,まだこの質問,クイズのような感じで,私もこれは一つ一つ見ながら,どう判断すればいいかということを,思いました。もう一つ二つ紹介すると,一人でエレベーターに乗る場合はどこに立つか,これはどういう意味だろうかと思いました。それから,公園でトイレに行くべきか,夜なんかは,昼は別としても,夜じゃあ公園のトイレを使うべきか,コンビニへ行くほうが安全かとか,そういう設問を見ると,非常にこれは子供だけじゃなくて,大人にとっても非常にこれはいい設問だなあと。取り組みといっても,例えばこういう場合どうするかというのは,御自身,皆さん考えてくださいという1枚の紙でもいいですよね,安全・安心の問い,質問みたいな,そんなんで答えはもう各自でよう考えてくださいみたいなことでいいのかなあと。改めて本当に今,安全・安心ということで,日本は安全だというふうに言われてますけど,でも結構悲惨な事件・事故なんかもありますので,夜とか。なので,この機会に,非常にこれはおもしろいし,ためになるというふうに思うので,ぜひ県民生活部長として,これは取り組みを前向きに考えていただきたいんですが,どうでしょう。 ○副議長(井元乾一郎君)  県民生活部長。   〔 県民生活部長 山田賢一君 登壇 〕 ◎県民生活部長(山田賢一君)  再質問にお答えいたします。 私も体験してみまして,なかなかいろんな考えをめぐらせられるシステムだと考えてございますけれども,この学習システムは,小学校が安全を学ぶために開発されたというふうな性格もございまして,直ちにこれを大人を対象に実施するというのは,幾らかはちょっと考えをめぐらさないといけないのかなと思ってございまして,したがいまして先ほども申しましたけれども,まずは保護者の方にも見ていただこうというふうなところからやっていこうかなと思ってございます。いずれにいたしましても,このモデル事業は3年間の実施にしてございますので,この期間にいろんなことを考えながら,その導入でございますとか,大人へのことも考えてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(井元乾一郎君)  上田君,よろしいですか。 ◆7番(上田勝義君)  ちょっと2番目のことで教育長に。 ○副議長(井元乾一郎君)  教育長,答弁席へ。 7番。   〔 7番 上田勝義君 登壇 〕 ◆7番(上田勝義君)  じゃあ2番目の2分の1成人式と立志式についてでありますけれども,我々ぐらいの世代までは立志式を多分経験していると思います。我々の時代は,今の子供たち,非常にかわいそうだなあと思います,道草をするような環境にないということで。道草というのは,以前何か山陽新聞のデスクが書かれたようなのを私も読んだことがあるんですけども,あれというのは,社会の縮図を見れる非常にいい機会というか,時間帯だったなあというのも私も思ってます。今の子供たちというのは,点から点に移動するので,間のこととか,社会をなかなか本当に間近に見る機会を失ってるし,いろんな大人を,働いている姿を見ることもできないし,ということでいえば,ちょっと前によく売れましたけど,「13歳のハローワーク」が売れたというのは,恐らくそういう職業というものを間近に見ることがなかったし,見ることができない時代だからこそ売れたんだろうと,私は思うんですね。そうした中でいうと,やっぱりどこかで子供たちにきちっと区切りをつくって,でも立志式は昔の武家社会のときの行事だろうと言われると,もうそれで終わってしまうんですけども。でも,一つの大きなちょうど子供から大人に移行する世代だし,非常にいい機会だと,私は思います。 去年の9月定例会のときに,佐藤真治議員の質問の中の答弁で,教育長,2分の1成人式や立志式についての活用の取り組みをしている学校があるので,PTAや学校に紹介をしていきたいというふうにおっしゃられているんですけど,その紹介された結果どうですかね,それについてお聞きします。 ○副議長(井元乾一郎君)  教育長。   〔 教育長 竹井千庫君 登壇 〕 ◎教育長(竹井千庫君)  2分の1成人式とか,あるいは立志式についてのPTA等への紹介をした結果の状況ということですけども,申しわけございませんが,そこまでのことは把握はしておりませんけれども,現在,立志式につきましては,県内で6市5町村で実施をしているという状況であります。また,2分の1成人式につきましては,12市7町での実施ということで,まだまだふえていないという状況ではございます。私もやっぱり通過儀礼といいましょうか,やっぱり人間にはその節目節目というのがありますので,そういったときに人として大切なこと,あり方,生き方,これをきちっと伝え,考えさせていくことは重要であるということはありまして,まずは幼少期,それから小学校,中学校,高等学校,それぞれに,せめてこれぐらいは必要だろうというような,そういうものを県民の皆さんから募集いたしまして,それを標語形式にして,先ほど申し上げました生活信条にして,子供さんのおられる全戸へ配布したということで,そういったようなものを家庭の中でも,ともに語りながらやっていただくということも必要ではないかなということで,あわせてやっていくことが大切かなというふうに思っております。 以上でございます。 ○副議長(井元乾一郎君)  上田君,よろしいですか。 ◆7番(上田勝義君)  はい,いいです,終わります。 ○副議長(井元乾一郎君)  答弁者は自席にお戻りください。 次の質問者に移ります。 12番太田正孝君。   〔 12番 太田正孝君 登壇 〕 ◆12番(太田正孝君)  自由民主党県議団の太田正孝でございます。 通告に従いまして,早速質問に入りたいと思います。 まず最初に,第3次おかやま夢づくりプランの改訂,晴れの国おかやま生き活きプラン(仮称)についてお伺いいたします。 8月29日に改訂素案が公表されました。県民所得300万円を目標に置くなど,意欲的なプランと受けとめています。時間の関係もありますので,2点質問をさせていただきます。 1点目です。 このプランは,9月8日に,2020年の東京オリンピック開催決定前に作成されたものなので,第2章岡山の将来像(長期構想),時代の潮流と課題では,7年後の東京オリンピックを想定に入れていません。岡山県として,2度目の東京オリンピックをどう好機と捉え,東京オリンピック成功,日本再生のためにどのような役割を果たそうとするのか。この定例県議会でも多くの議論が出てきているところでございますが,この第2章の中にぜひとも入れていただきたい。さらに,踏み込んで申し上げますと,東京オリンピック開催で日本が一つになって頑張っていこう,岡山も頑張るぞという姿勢をぜひ盛り込んでいただきたいと思いますが,知事にはそのような考えはありますでしょうか,お伺いいたします。 2点目です。 47都道府県の中でどのような順位にあるかは,大変重要なことと思いますが,「過ぎたるは及ばざるがごとし」と言われるとおり,意識し過ぎないほうがよいプランになるのだと考えます。前知事のときは,前知事から,「私が先頭になりまして地域間競争を勝ち抜いてまいります」というようなフレーズが好まれて使われていましたけれども,いかに県の絶対的価値を高めるかが大事であると考えます。先日,御縁があってテルモ株式会社副社長松村啓史氏の講演を聞かせていただいた際,氏からは,スペックの時代からバリューの時代に変わっているというお話がありまして,20年以上前,オートバイメーカーに勤務していたときに感じた思いを思い出しました。このスペックからバリューとは,日本語でいえば,性能重視から使い勝手重視と言えばよいでしょうか。その象徴的なものの一つが,自動車でございます。今,スペックよりも使用目的に合ったものがよく売れています。それから,変わったところでは,ある多目的はさみが通常のものの倍以上の価格でありながら,爆発的に売れていたりします。皆さん,はさみで何を切りますか。紙ですか。多いのはビニール系,プラ系のパッケージなどで,紙を切るのは3割ぐらいとも言われています。だから,ビニール系,プラ系のものなどが切りやすい多目的はさみがよく売れるのであります。今,ものづくりは台湾やアジアの国々のほうが得意で,日本は別な道を歩まなければなりません。バリューの時代を意識して産業振興をしていかなければなりません。県の絶対的価値を高めるような,そういうメッセージをプランの中に取り入れるべきと考えます。知事の御意見をお聞かせください。 実は,松村副社長の講演で,行政は機能を果たそうとする組織で,スペックで物事を行っていると指摘されていました。なるほどだなあ,言われればそのとおりでありまして,法律やら規則やら決められたことを間違いなくする,すばらしい組織です。けれども,誰もしていない新しいことを始めることは,大の苦手でございます。行政がバリューの時代を先頭に立っていくことは,その体質上,難しいでありましょう。 もう一つ,行政がスペックに傾注し過ぎている点について申し上げます。 プラン改訂素案でも,ランキング比較していますが,県の魅力をスペックにできるものだけで争う傾向が強くあります。スペックで争えば,当然東京には勝てません。岡山は,いつも中の上が定位置ということになるでしょうか。また,基礎自治体の位置づけもスペックです。岡山市が政令市になったのは,バリューが高くなったからではございません。人口が70万になったからで,スペックを見てであります。このように,行政はまだスペックばかりを見て行政運営をしています。行政もそろそろスペックの競争をやめるべきであります。地域ブランドづくりについても,ある程度のパイを持っているものを何とかしようという発想が強かったのではないでしょうか。岡山は,日本の中で,世界の中で,どのようにお役に立つことができるのか,バリューをもっと日本中に,世界中に発信することが求められているのではないでしょうか。 そこで,知事にお伺いいたします。 1点目,スペック偏重の組織からバリュー創出もできる組織に体質を変えていただきたいのですが,知事は次年度以降どのように県庁の組織を変えていこうとお考えになっているのか,お伺いいたします。 2点目,岡山を日本の中で,世界の中でどのように価値のある地域にしていこうとしているのか,知事の御所見をお聞かせください。 次に,大雨対策及びそれに関連することについてお伺いいたします。 この7月中旬から9月中旬にかけて,各地で集中豪雨,大雨,台風の被害が出ました。被害に遭われた方々には,心からお見舞い申し上げます。 ことしの雨の降り方を見ていますと,亜熱帯気候ではないかと思わせるほどの激しい降り方でした。連日の雨で,9月4日の午前中には,あちこちで増水して,畑や道路が冠水するほどになっていたとき,自宅近くの足守川にある排水機場では,ポンプをフル回転させていました。けれども,用水の水位はほとんど変わりません。運転操作をしている当番の一人は,これ以上降り続けると本当に危険じゃあ,不安げな顔をして,ほかの当番の人に話しかけていましたが,その言葉はちょうど2年前の足守川の越水を思い出してのものであります。今回は,幸い午後には雨が上がりましたので,難を逃れることはできましたけれども,これからこうした大雨が頻繁に降るのではないかと,不安は大きくなっています。つきましては,今後,河川改修等のスピードアップを図っていただかなければならないことは,当然でございます。私の2年前の9月定例県議会における笹ケ瀬川,足守川の改修と内水氾濫についての質問に対して,県当局の答弁は,笹ケ瀬川については,河川整備計画に基づき河川全体の整備状況を踏まえ,順次改修を進めていく,足守川については,24年度に樋門整備を終えた後,堤防のかさ上げと河道の掘削を行う予定であり,事業費の確保につきましては,最大限努力し,早期改修に努める。また,内水氾濫については,岡山市と連携しながら河川の整備による河川の流下能力の拡大や内水排除のための排水機場の整備を進める必要があると考えているという,大変前向きなものでございました。この答弁を踏まえて,この2年間,笹ケ瀬川,足守川とも精いっぱいやってくださっていると感じております。大変感謝をいたしております。 ここで1点お伺いいたします。 河道の掘削は,どれくらいできたのでしょうか。もっと掘削ができていたならば,河川の流下能力はもっと高まったのではないでしょうか。また,排水機場の整備はどれくらいできたのでしょうか。こうした点について,2年間で取り組んだ成果を土木部長にお伺いいたします。 今,流下能力,排水機場に関する質問をいたしましたが,いまだに大雨時に現在設置されている排水機場のポンプをフル回転させたくてもさせることができないときがございます。堤防整備,河道掘削をもっとスピードを上げていただけなければならないということでございます。ついては,河川改修事業の予算確保を十二分にしていただきたいのですが,国からの交付金による河川改修事業費の確保が十分でないと思うのですが,知事はどのように認識をされているのでしょうか。また,そうした状況の中,次年度はどれくらい河川改修事業の予算を確保していきたいと考えているのか,あわせて知事のお考えをお聞かせください。 ここまで河川改修の関係のことをお聞きしてまいりましたが,もう一つ心配になるのが内水氾濫でございます。この内水氾濫は,先ほど申し上げた河川への排水制限によるところも大きいのですが,今の都市排水の基準と都市の排水能力では対応し切れなくなったということでございます。こうしたことは,岡山だけでなく,全国的に起こっている問題でございます。北九州市では,7月3日の集中豪雨で,鉄道や道路との交差部を立体交差するため,道路を掘り下げ,くぐり抜ける方式とした道路,いわゆるアンダーパスとなっているところ市内25カ所のうち,16カ所が冠水を起こし,車両10台が立ち往生する事態となりました。その原因は,アンダーパスの設計上の排水能力1時間50ミリメートルを超える73ミリメートルの雨が降ったことでございます。この事態を踏まえ,北九州市長は,7月10日の記者会見で,1時間50ミリの想定では対応し切れない,ハード,ソフト両面の対応が必要と,見直す考えを示しました。私は,北九州市のように,都市部の排水基準は50ミリメートルパーアワーを見直すべきではないかと考えます。ついては,県当局が見直しの旗振り役として適任と思いますが,県内の排水基準は,今どれくらいになっているのでしょうか。そして,今後については,排水基準をどれぐらいに上げるべきとお考えでしょうか,あわせて土木部長にお伺いいたします。 次は,産業振興についてであります。 平成23年6月定例県議会で,私は中四国の物流拠点になるよう,もっと飽くなき追求をすべきではないかということを申し上げさせていただいたところ,当時石井知事からは,空港や県南部のインターチェンジ周辺などは,流通目的を求める企業ニーズがある中で,土地利用上の制約もあるが,赤磐市では山陽インターチェンジ付近において,都市計画法に基づく地区計画を策定して,流通センターの整備を進めている。また,岡山市では,このたび策定した産業振興ビジョンにおいて,市街化区域内の区域を基本としつつ,市街化調整区域においても一定の条件のもとで,民間活力による企業立地を進めるなどの方針が示されている。このような市町村の産業振興の方針を踏まえ,現行法上のさまざまな手法を有効に活用しながら,ニーズに即した民間主導による流通拠点の整備をしてまいりたいとのお考えが示されましたが,その後はどうなったのでしょうか。この2年3カ月の取り組みの成果について,産業労働部長から御報告をいただきたいと思います。 行政としては,基本的には2年前の御答弁のような答え方しかできないのかと思いますが,物流拠点の整備がなぜ進まないのか,ここが問題であります。企業の動きとかみ合っていないところがあります。なぜでしょうか。物流拠点としていくためには,今の規制を緩和することが一番でございます。例えば,市街化調整区域内では,トラックターミナル等の物流拠点施設整備は,現在,インターチェンジから離れている距離が半径1キロメートル以内でなければできません。せめて5キロメートル以内までつくれるよう規制緩和ができたならば,物流施設の整備は促進されるでありましょう。特にこの緩和は,高速道路の結節点について行われれば有益なことであります。知事は,岡山の地の利を生かした物流拠点都市にするためには,何から手をつけていくお考えでしょうか,今後の取り組みについて御答弁を求めます。 今,土地利用の規制緩和を求めたところですが,県南都市部には耕作放棄地があちこちにふえ始めています。昔のような農業しながら仕事に出るというスタイルをとろうにも,そういう人を受け入れる企業が減ってきたのではないか。言いかえれば,サービス業が中心の雇用形態なり兼業で農業することが難しくなったのではないか。これから中心市街地に近い農地では,農地の大規模化も集落営農の促進も難しくなるばかりでありましょう。こうしたところでは,まだまだ農業で頑張れよというよりも,もっと都市の発展のために適切に土地利用がなされるように柔軟な土地利用を認めるべきであります。ついては,市街地と市街化調整区域の線引きの権限を持っている知事が,一定の条件を満たしていたならば,市街地への変更が可能になるように線引きの緩和を行っていただきたいと願うものであります。環境アセスメントの規制緩和は,すばらしかったと思います。もう一つ,ここでも知事の頑張りに期待をしたいと思います。 そこで,お尋ねします。 県は,県南広域都市計画の権限を有しているのでお聞きしますが,岡山や倉敷の中心市街地から5キロメートルの範囲内での耕作放棄地はどれくらいになっているのでしょうか,農林水産部長にお伺いいたします。 耕作放棄地は,荒れ地となり,雑草が生い茂り,近隣に迷惑をもかけ始めています。岡山市では,空き地における雑草を除去しなければならないとの条例があります。農地においても,何とかできる根拠をつくるべきと思いたくもなりますが,今はございません。農地よりもほかに利用するほうが都市の発展に寄与する場合は,線引きの変更を認めるという方針を,権限を持つ県が明確に打ち出すべきではないでしょうか。知事は,その方針を打ち出すお考えはお持ちでしょうか,お伺いいたします。 最後の項目に入ります。 新しい高校づくりについてお伺いいたします。 人生やり直しができるものならやり直しをしたいと思っている人は,多くいます。私の周りにも多くいます。若いときなら幾らでもやり直しができます。ましてや,10代ならなおさらのことでございます。社会としても,お手伝いをしてあげたいものであります。平成23年度の岡山県のデータになりますが,高校中途退学者904名で,学業不振による者が48名,もともと高校生活に熱意がない者が184名でした。また,平成23年度の高校生の不登校生徒数は1,316名,出現率は2.43%で,全国の1.68%に比べて高い率となっています。こういう状況ですけれども,できるものならやり直したいと思う生徒たちがいます。こういう生徒たちに対して,東京都では,平成12年度から新しい取り組みを始めています。どんな取り組みかといいますと,中学まで不登校傾向であったり,高校を中退したりした生徒,また,小学校から中学校にかけて頑張り切れなかった生徒などを想定し,定時制のチャレンジスクールや全日制のエンカレッジスクールを設置しているのであります。チャレンジスクールでは,入学時の学習水準では,過去は問わないとしていて,入学後の主要科目においては,高校の指導要領レベルではなく,中学レベルから学べる科目も開校されています。もう一つのエンカレッジスクールでは,基礎の基礎から学び直しに力を入れる一方,生徒指導,地域奉仕活動にも力を入れて,社会に出てからも自信を持って人と接することのできる人物の育成をしています。こうした学校が東京には現在10校もあります。 翻って,岡山県はどうなのか。岡山市では,不登校の児童を10%受け入れる岡山後楽館中学校があります。先般,学校を訪問して様子を伺いますと,不登校であった生徒たちの半数以上が学級に通学できるようになっているということであります。うれしいことでございます。県については,こういうことに特化させた学校はありません。進路先を最優先に考えた学科編成で高校づくりがされています。それは,義務教育までの基礎基本ができていることを前提にした学校づくりになっていると思うのです。そのことを強く思わせるのは,高教研の最終提言で,学科別の生徒募集定員数と中学生の学科別希望者数がほぼ合致していて,今の学科編成で問題なしと結論づけていることでございます。果たしてこのような結論づけでよいのかと,私は疑問に思っています。現状では,中学までの基礎基本ができておらず,専門の学校に入っても専門に進むことができない,できていないから中学の勉強をし直してからやっと高校課程に入れる。この学校側の努力,丁寧な対応をしても,先ほど申し上げましたとおり,学業不振による中途退学者が48名,高校での学校生活に熱意が見れない者が184名もいるのであります。小中学校における状況が全国で最もと言っていいほどの厳しい状況,言いかえれば,中学校までにつまずいていたり,学校に通うことができなかったりする生徒が全国の中でも多い状況ですから,進学先の高校で少々の補習授業等ではフォローできなくなっていることは,明らかであります。言葉では,高校でやり直しを願う中学生を受け入れ,無業者にさせないようにしているのだと県教委は強弁されていますが,本当に無業者にさせたくないと考えてくださっているのであれば,東京のように,その子たちが徹底的にやり直せる学校をつくるべきであります。 先般,知事は,これからの全国学力テストの結果を全国10位以内にするとの強い決意を語られていますが,それは義務教育までのことでありまして,現在,基礎基本を身につけることができずに中学を卒業しようとしていたりする生徒が多くいるのですから,そのような子をきちんと受け入れる高校が必要なのではないでしょうか。今の体制では,やり直しがなかなか難しいのではないでしょうか。 そこで,2点お伺いします。 1点目,中学の長期欠席生徒,そしてその中の不登校生徒について,今春,県立高校,私立高校に何人進学されたのでしょうか。また,この状況を教育長はどのように思っておられるのでしょうか,あわせてお伺いいたします。 2点目,東京都のように,中学までの学習に十分力を発揮できなかった生徒や高校入学後,改めて学び直したいと考えている生徒を,励まし,応援し,自信を与え,潜在的能力を伸ばすことを目的にした2人担任制や習熟度別少人数制授業できめ細かな指導を行う新しい学校をつくりませんか,知事の御所見をお伺いしたいと思います。 以上で終わります。ありがとうございました。 ○副議長(井元乾一郎君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  自由民主党の太田議員の質問にお答えいたします。 まず,第3次おかやま夢づくりプランの改訂等についての御質問であります。 改訂素案への反映のうち,東京オリンピックについてでありますが,第2章の長期構想では,全ての県民が明るい笑顔で暮らす生き活き岡山を実現したいという私の思いを込め,オリンピック開催から5年後となる2025年ごろを展望し,岡山の将来像として,目指すべき岡山の姿を描いたところであります。このため,東京オリンピック開催に向け,国や本県が頑張っていく姿勢を第2章に盛り込むことまでは考えていませんが,議員お話のように,その開催を日本再生や本県発展の好機と捉え,最大限に生かすことは大変重要であると認識しております。こうしたことから,県といたしましても,県民を挙げた機運の醸成を図るとともに,オリンピックの感動を共有できる事前キャンプなどについては,市町村や関係団体等と連携しながら,誘致に向けた取り組みなどを積極的に進めてまいる所存でございます。 次に,県の絶対的価値の向上についてでありますが,私は県民を初め県の行政サービスに関係する県内外の方々から高く評価していただける地域としていくことが,県の絶対的価値を向上させることにほかならないと考えており,このため,プラン改訂に当たりましても,第4章プランの進め方に,顧客重視の視点に立って県政を推進することを盛り込んだところであります。また,改訂素案に掲げる生き活き岡山という言葉には,人々の価値観が多様化する中,顧客満足度を高め,全ての県民が明るい笑顔で暮らす岡山を目指すという,私の強いメッセージを込めたところであり,このことは,議員のお話の県の絶対的価値を高めていくということに相通じるものと考えております。 次に,県庁組織についてでありますが,県では,これまでも県民の求める価値,ニーズに応じたサービスの提供に努めてきたところであります。今後の県政推進に当たっては,誰のための事業なのかを改めて明確に意識しながら,そのニーズを把握し,求められるタイミングできめ細かなサービスを提供することが必要だと考え,プラン改訂素案や経営指針素案において,顧客重視を掲げたところであります。先日,私から直接職員に改めてこうした意識改革を強く求めたところであり,引き続き粘り強く私の思いを伝え,真に顧客の満足度を高める組織に変革してまいりたいと存じます。 次に,価値のある地域づくりについてでありますが,改訂素案では,2025年ごろの目指すべき岡山の姿として,全ての県民が明るい笑顔で暮らす岡山と,中四国の拠点としてグローバルに発展する岡山の姿を描いているところであり,この実現こそが日本や世界の中で価値ある岡山づくりに通じるものと考えております。このため,まずは,改訂プランに盛り込む施策について,目に見える成果を上げることが肝要であり,そのことによって国内はもとより海外からも評価される地域となるよう,全力で取り組んでまいりたいと存じます。 次に,大雨対策についての御質問であります。 河川改修等のうち,予算確保についてでありますが,本県では,近年の気候変動の影響等による台風や集中豪雨等により,毎年のように水害が発生しており,平成23年までの過去10年間の累計水害被害額は約2,250億円で,東日本大震災の津波被害を除き,全国第7位の状況となっております。こうした被害の早期軽減のため,従来から積極的に河川改修事業費の確保に努めてきたところでありますが,近年の国における河川事業予算減少の影響等から,本県の河川改修事業に対する国の交付金は非常に厳しい状況となっております。こうしたことから,先月の国に対する提案の中で,私自身が治水事業予算の増額について要望を行ったところであります。大幅な予算増は厳しい状況ではありますが,引き続き国に働きかけてまいりたいと存じます。 次に,産業振興についての御質問であります。 物流拠点都市のうち,今後の取り組みについてでありますが,依然として企業ニーズの高い県南部のインターチェンジ周辺での用地は不足しており,臨海部や県北の産業団地,民間遊休地を御紹介している状況であります。県では,市町村や民間が主体となった産業用地の開発が進むよう,環境アセスメントの要件見直しを行ったところでありますが,引き続き各種規制等の再検証を行うとともに,県有未利用地の開発の検討も進めてまいりたいと考えております。 なお,お話の市街化調整区域内での物流拠点施設につきましては,流通業務の総合化及び効率化の促進の観点から,インターチェンジ周辺において範囲を限定して立地可能でありますが,その範囲の拡大につきましては,本県のすぐれた交通拠点性を生かした産業振興やまちづくり誘導の観点も含め,都市計画マスタープラン等との整合を図りながら,今後,しっかりと検討してまいりたいと考えております。 次に,柔軟な土地利用のうち,線引きの変更についてでありますが,岡山県南広域都市計画区域においては,人口減少や少子・高齢化の進行などに対応した集約型都市構造への転換と,産業振興による活力あふれる力強い都市づくりを方針としており,原則として市街化のさらなる拡大を抑制するとともに,秩序ある土地利用のもとで計画的に産業の振興を図ることとしております。線引きを変更する場合には,市町が地域の実情や課題を踏まえて,みずからの将来の都市像を明らかにし,変更案を作成することとなっております。県としては,市町の変更案をもとに,県南広域都市計画区域内における適切な市街化区域の規模や市街化区域内の低未利用地の活用など,広域的な観点から,市町との調整を行い,都市の発展に寄与する適正な土地利用が図られるよう,市街化区域の設定に努めてまいりたいと考えております。 最後に,やり直しができる学校についての御質問であります。 所見についてでありますが,不登校や中途退学を経験していても,学ぶ意欲を持ち,再度挑戦しようとする生徒に高校で学ぶ機会と自信を与えることは,意義あることと考えております。県教委では,これまでも,多様な生徒を受け入れるため,総合学科や単位制を導入し,きめ細かい対応を行ってきたと聞いております。私といたしましては,まずはこうした学校の機能を充実させるとともに,新たに県北地域に設置する定時制高校にも同様の機能を期待しているところでございます。 以上でございます。 ○副議長(井元乾一郎君)  産業労働部長高橋邦彰君。   〔 産業労働部長 高橋邦彰君 登壇 〕 ◎産業労働部長(高橋邦彰君)  お答えいたします。 産業振興についての御質問で,物流拠点都市のうち,取り組みの成果についてでありますが,平成23年6月以降,赤磐市では山陽インターチェンジ隣接地に流通センターの増設が進められ,岡山市においては,企業用地等を確保するため,市街化調整区域における地区計画の運用指針の策定に向けて準備が進められているところであります。また,市町村と連携して誘致に取り組んだ結果,この2年3カ月の間に物流関連企業が13件立地決定したところであり,さらに民間主導では,今年3月に岡山総社インターチェンジ隣接地に,中四国で最大級の規模となる物流倉庫が完成するなど,県内の物流拠点の整備は着実に進んでいると考えております。 以上でございます。 ○副議長(井元乾一郎君)  農林水産部長佐藤一雄君。   〔 農林水産部長 佐藤一雄君 登壇 〕 ◎農林水産部長(佐藤一雄君)  お答えいたします。 産業振興についての御質問のうち,柔軟な土地利用のうち,中心市街地から5キロメートル以内耕作放棄地についてでございますが,岡山市及び倉敷市の農業委員会に問い合わせたところ,合わせて約36ヘクタールでございました。 以上でございます。 ○副議長(井元乾一郎君)  土木部長関沢元治君。   〔 土木部長 関沢元治君 登壇 〕 ◎土木部長(関沢元治君)  お答えいたします。 大雨対策についての御質問であります。 河川改修等のうち,笹ケ瀬川,足守川の成果についてでありますが,笹ケ瀬川におきましては,足守川合流点から白石橋までの区間の堤防整備を実施しており,今年度末には概成する見込みです。引き続き流下能力の早期拡大の観点から,堤防高が不足する国道30号の笹ケ瀬橋から足守川合流点までの堤防整備を進めてまいります。河道掘削につきましては,堤防整備完了後に河口部から行ってまいりたいと考えております。足守川におきましては,平成24年度までに樋門整備を終えており,ことしの出水期明けから堤防のかさ上げと一部の河道掘削に着手する予定です。また,排水機場につきましては,岡山市において笹ケ瀬川の北長瀬ポンプ場を平成24年度に供用開始しております。さらに,当新田ポンプ場につきましては,平成28年度末までにポンプ2台を3台に増設する予定であり,今年度に詳細設計を行うと聞いております。 次に,排水基準についてでありますが,県内市町の雨水排水対策は,下水道施設計画設計指針に基づき,5年から10年に一回発生すると想定される最大降雨量を基準として計画されており,その降雨量は1時間当たり34ミリから59ミリとなっております。例えば,岡山市では,排水面積が100ヘクタール未満の水路については,5年に一回発生すると想定される降雨量42ミリに,また,排水面積が100ヘクタール以上の水路については,流下能力不足による被害が甚大になると予想されることから,10年に一回発生すると想定される53ミリに対応する計画となっております。排水基準の引き上げについては,内水対策の主体である市町において適切に設定されるべきものでありますが,県内の下水道による雨水排水対策の進捗状況は,事業計画面積に対し42%程度であることから,まずは現在の計画により整備を進めることが重要と考えております。 以上でございます。 ○副議長(井元乾一郎君)  教育長竹井千庫君。   〔 教育長 竹井千庫君 登壇 〕 ◎教育長(竹井千庫君)  お答えいたします。 やり直しができる学校についてのうち,長期欠席生徒の高校進学状況等についてでありますが,中学校の長期欠席者の進路状況と不登校生徒のうちの県立,私立別の進学者数までは把握しておりませんが,今春公立中学校を卒業した不登校生徒569人のうち408人が高校へ進学しており,その内訳は全日制が204人,定時制が79人,通信制が125人であります。不登校経験者の7割少々の者がやり直したいとの希望を持って高校に進学してきており,このような生徒をしっかり受けとめていくことが必要だと考えております。受け入れた高校では,中学校までの状況を把握するとともに,生徒一人一人の学力や進路希望,家庭の状況等を踏まえ,自己肯定感や意欲が高まるよう,学び直しのできる科目の開設や補充的な指導,校内での居場所づくりなど,きめ細かい指導に努めることが重要であると考えております。また,就職も進学もしていない者で高校教育を受けたいという意欲が高まった場合は,積極的に受け入れることが大切であると考えております。 以上でございます。 ○副議長(井元乾一郎君)  12番。   〔 12番 太田正孝君 登壇 〕 ◆12番(太田正孝君)  知事を初め御答弁どうもありがとうございます。 知事のほうから,まずインターチェンジ付近の規制緩和につきましては,しっかり検討していくということで,しっかりという内容を私は本当に重く受けとめていきたいと思いますので,今後を楽しみにしていきたいと思います。 質問でありますけれども,知事,教育長の答弁を聞かせていただきますと,定時制の学校であるとか,今,総合学科を設けて対応を図ってくださっているということでありまして,私も調査をさせていただいて,そのとおりだというふうにも思いますが,先ほどの御答弁のとおり,不登校の方,生徒569名に対して進学ができた者408名でありまして,まだまだ161名ですか,できていないということもあります。そして,私が今回質問でお願いをしたかったのは,さらにもっともっときめ細かい,今以上にきめ細かい体制というのはとれないものだろうかと。その一番究極の姿というのが,新しい学校づくりということになるんではないかというふうに思いますが。いろんな制約条件でもしもできないのであれば,やはりこういったやり直しがしたい子供たちに対して,生徒に対して,もっと先生を加配していただくなりして,2人担任制や習熟度別少人数学級でこういったことをもっともっと掘り下げてやっていきたいと思いますし,また,生きていく上での自信をしっかり持てるように地域奉仕活動やら,また,いろんな経験を積めるような場をつくっていただきたい,それが私は新しい学校づくりと思いましたけれども,できるだけのことを,やり直したい子供たちのために頑張るのも,私は県行政,また,県教委の大きな役割,仕事だろうと思うんですが,この点につきまして御答弁いただけるものでありましたら御答弁をいただきたいと思います。 以上で再質問を終わります。ありがとうございました。 ○副議長(井元乾一郎君)  太田議員,答弁者はどなたですか。 ◆12番(太田正孝君)  知事,教育長からいただけるのであれば。 ○副議長(井元乾一郎君)  答弁を求めます。 知事。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  先ほどのやり直しができる学校について岡山県として学校の新設も含めてどういうことを考えているのかと,何かもっともっとできないのかという質問に対してお答えをいたします。 よく日本は,やり直しがしづらい国だということを言われることがございます。私自身は,それは大変残念なことだと思っておりまして,実際には,どこからでもチャレンジをして頑張っている,成功している例がありますので,外国で言われるほど日本は18歳のときで運命が決まってしまう,人生が決まってしまうというふうには思っておりませんけれども,中学であれ高校であれ,何かそのときには一生懸命できなかった,悔いが残った,でも数年後にもう一度やり直そうという人については,これが数年後であれ,十数年後であれ,もっと後であっても,ぜひ再チャレンジができるような仕組みを整えるというのは,御本人にとってもすばらしいことですし,社会全体にとってもすばらしいことだと思っています。ぜひともバックアップをしていきたいと思っています。その際,当然効果的な施策をしたいわけでありますけれども,例えば,県に1つ学校つくるといいましても,一つの学校にみんなで通ってもらうということになったら,備前だとか笠岡だと津山からは,かなり遠くなりますけれども,現在,今,県下に高校はたくさんそれぞれの地域にあるわけでもあるし,定時制の学校もそれぞれの地域にございます。そういった今あるものをいかに活用していくかという観点も大切なのではないかと思っております。いずれにしましても,やり直しができるような仕組みにしていくというのは,非常に大切なことですので,しっかり頑張ってまいりたいと思います。 ○副議長(井元乾一郎君)  教育長。   〔 教育長 竹井千庫君 登壇 〕 ◎教育長(竹井千庫君)  お答えいたします。 先ほどは,不登校生徒569人のうち,高校進学者数を申し上げたところでございますけれども,それ以外にも就職した生徒等々がございますので,実際に就職も進学も全くしてないという生徒は94名,そのうちの44名が進学等も考えていないということでありまして,この44名の方が無業者という者に相当していくだろうなというふうには思っておりますので,ちょっと補足説明をさせていただきました。 先ほどの答弁で,学校のほうで受け入れてしっかりきめ細かく自信を持って卒業できるようにというようなことでございますけれども,先ほど知事の答弁ございましたが,総合学科というのが県下で県立高校としましては4校あるわけですけれども,これは進路が明確になっていない,中学校段階で進路がなかなか決まっていない,何をしていいのかよくわからないという,そういう生徒を積極的に受け入れてきまして,社会との接点をふやす中で,自分の進路は何だろうかと考えさせていく,進路を明確にしていくという,そういう目的の学校でありますし,学年の区分というのも取っ払っております,単位制というのを入れておりますんで。3年間で卒業に必要な単位を取っていけば卒業ができるというような,そういう非常に弾力的な教育内容でやっているわけでありますが,県立高校は,基本的には2人担任制で習熟等もやっておりますし,非常に厳しい学校に対しましては,教員の加配も入れているところであります。しかし,じゃあ結果が伴っているのかと申しますと,なかなかそういう結果が伴っていない状況もございますので,学校の実態を把握しながら,今後とも,しっかりきめ細かい指導があってやり直しができるような,そういう体制はつくっていきたいというふうに存じます。 以上でございます。   ~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(井元乾一郎君)  以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。   ~~~~~~~~~~~~~~~ △9月19日の議事日程 ○副議長(井元乾一郎君)  明日の議事日程は,午前10時開議で,一般質問であります。   ~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(井元乾一郎君)  本日は,これをもって散会いたします。        午後2時37分散会〇 平成25年9月18日(水曜日)出席議員   1番 氏平三穂子君     2番 中川 雅子君     3番 三宅 和広君   4番 若井たつこ君     5番 小林孝一郎君     6番 市村  仁君   7番 上田 勝義君     8番 小林 義明君     9番 中塚 周一君  10番 江本 公一君    11番 青野 高陽君    12番 太田 正孝君  13番 谷口 圭三君    14番 池本 敏朗君    15番 小林 健伸君  16番 渡辺 吉幸君    17番 木口 京子君    18番 原田 唯良君  19番 柳田  哲君    20番 森脇 久紀君    21番 笹井 茂智君  22番 増川 英一君    23番 高原 俊彦君    24番 横田えつこ君  25番 浅野  實君    26番 小倉 弘行君    27番 加藤 浩久君  28番 遠藤 康洋君    29番 蜂谷 弘美君    30番 神宝 謙一君  31番 西岡 聖貴君    32番 波多 洋治君    33番 久徳 大輔君  34番 高橋 戒隆君    35番 蓮岡 靖之君    36番 佐藤 真治君  37番 井元乾一郎君    38番 住吉 良久君    39番 三原 誠介君  40番 山田総一郎君    41番 景山 貢明君    42番 高橋 英士君  43番 佐古 信五君    44番 伊藤 文夫君    45番 岸本 清美君  46番 小田 圭一君    47番 渡辺 英気君    48番 内山  登君  49番 小野 泰弘君    50番 河本  勉君    53番 岡崎  豊君  54番 小田 春人君    55番 古山 泰生君    56番 天野  学君  57番 千田 博通君    58番 戸室 敦雄君           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~出席した事務局職員  事務局長     亀森 敏宏         次長       安永 知昭  議事課長     河井 伸充         政務調査室長   瀧井 一詞  議事課長代理   米戸 健浩         議事課長補佐   新堂 俊文  議事課主幹    下坂 泰幸         議事課主任    大町 祐樹           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~説明のため出席した者知事部局  知事       伊原木隆太君        副知事      足羽 憲治君  副知事      木幡  浩君        公営企業管理者  西本 善夫君  危機管理監    角田 保彦君        総合政策局長   藤井  伸君  知事室長     小川 敏朗君        総務部長     佐藤 兼郎君  総務部次長    海老塚聖也君        県民生活部長   山田 賢一君  環境文化部長   豊田ひとみ君        保健福祉部長   伯野 春彦君  産業労働部長   高橋 邦彰君        農林水産部長   佐藤 一雄君  土木部長     関沢 元治君        出納局長     畦坪 和典君教育委員会  委員       高橋 香代君        教育長      竹井 千庫君  教育次長     今井 康好君公安委員会  委員       野崎 泰彦君        警察本部長    小島 隆雄君  警務部長     熊谷  勉君人事委員会  委員       森  義郎君        事務局長     森廣 伸之君監査委員  代表監査委員   與田 統充君        事務局長     森  晃朗君選挙管理委員会  委員       土井 道彦君...